コンサルの使い方に社長の役割…企業改革でよくある失敗と成功の流儀とは
ステップ2 事業計画再設定
事業計画策定者と実行者が違う時、よく起こること
改革のステークホルダーの中に、金融機関が増えてきた。このため、改革のタクトは金融機関が振ることが多くなってきたわけだが、これが時にややこしさを増幅させる。
よくあるのが、デューデリジェンスや再建計画はAコンサルティングで、その計画を実行するのはBコンサルティングという具合に分けて発注するケースだ。「うちは計画をつくった、実行は貴方たちがやってくれ」という具合に業務を分割するのだ。確かに、コンサルのデューデリジェンスが科学的な分析に裏打ちされたもので、論理的に課題の一丁目一番地を解決する計画であれば、その実行段階もスムースにいくだろう。
しかし、私は戦略策定後のバリューアップの仕事が多いのだが、その再建計画および課題解決の手法が“ひどい”ことが少なくない。
例えば、いずれも有名なグローバル・コンサルティングファームが3社、入れ代わり立ち代わりデューデリジェンスに失敗したケースがある。
本来、コンサルティングファームのつくった報告書は競合には見せない約束(不文律)があるのだが、何度も失敗されたクライアントにしてみたら、そうも言っていられない。
そこで重要な部分は隠して見せてもらい、役員との会合の際の議事録などを読むこととなったのだが、その内容が完全にツボを外しているというか、ポイントが見えないのだ。
バラバラと部分的な課題をいくつも挙げ、それに濃淡をつけず、因果関係も分からない。要は、「グローバルマップ」と呼ばれる、大きな目で全体を見たときの課題が見えないのである。
私は改革後のチェンジ・マネジメント(従業員の発想を変えるような支援)が得意だから、改革の実務担当として支援に呼ばれるわけだが、この計画に沿ってやってもうまくいかないので、細かい部分は避けて2度目(実質4度目)のデューデリジェンスを行ってから改革に挑むようにしている。つまり、こんなケースで事業計画の「再」設定が必要となるわけで、これをしないまま進めると悲劇しか起こらない。
企業改革の場合、傷口がどこにあるのか分からない。足が痛いと思ったら、原因は脇腹にあった、などは日常茶飯事だ。だから、因果関係と悪さをしている真因をしっかり見つけられないと改革は失敗する。
ある大手商社では、報告の際、PowerPointは禁止、ExcelをA3サイズで、起承転結でつくるのだが、これなら真因も因果関係もはっきりしていないとまとめることはできない。当然、忙しいエグゼクティブにとって有効な手段だと思う。ここで、事業計画の再設定が行われるというわけである。
実際の改革と改革後のフォローについても近々解説したい。
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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