コロナ後も堅調! ミールキットのパイオニア、ヨシケイの現在地
ミールキット市場に今求められる「付加価値」とは?
物価高騰の影響を受け、同社も値上げを敢行した。しかし、「家に食材が届く」「時短で作れる」といった付加価値を訴求できる同社のサービスは、値上げによる影響を受けにくい。また、食材価格が高騰し、野菜の価格変動も激しい今だからこそ、「食費が安定する」(七海氏)と喜ぶ声も寄せられているという。
「使い切れる量の食材をお届けするので、使いきれずに余らせてしまうことがない。小袋入りの調味料が付いているから『特殊な調味料を使い切れず賞味期限が切れた』ということもない。食品ロスも削減できる。一見割高に見えても、トータルで見ると食品にかけるコストを減らせるというメリットがある」(七海氏)。
商品開発においても、付加価値の視点を重視している。「『タイパ』の概念が定着した今、時短も付加価値のひとつ」と、杉山氏。「献立を考える」「買い物をする」といった手間を省ける、といった要素も時短の一環として捉え、開発に取り組んでいる。
「単純な時短ではなく、料理家や有名シェフとコラボしたミールキットも人気」と、七海氏。「日常の食事を届けるサービスである以上、尖り過ぎたメニューは馴染まない。しかし、ときにはコラボメニューを週の間に導入して変化をつけている」という。
メニューブックには、シズル感あふれる写真が並ぶ。杉山氏は、「美味しそうなビジュアルからも、付加価値を感じていただければ」と狙いを語る。
ロイヤルカスタマー層を支持基盤に、ミールキット市場をけん引する同社。今後の課題は、「人口減少傾向にある中、顧客層の厚みを増すこと」(杉山氏)という。一時的な利用に留まっている新規利用者を、いかにしてロイヤルカスタマーへと変えていけるか。地道なキャンペーン施策と付加価値の高いメニュー開発を継続するとともに、今後はCRMのデータをリアルな営業に生かすなど、リアルとデジタルの融合を強化したい考えだ。