事業再生のプロから「再生不可能」と判断される経営者の特徴とは
自らの凋落原因を因果関係で語れないタイプの経営者では難しい。今後取り得る戦略に対しても、具体性のない夢物語を語るタイプか、過去の延長線上で「do more better」 (局所的な改善案) を繰り返すタイプのどちらかであればダメだ。再生の可能性はないと判断する。
「ビジネスデューディリジェンス」といえば格好良いが、実際は「誰もが分かっているが口にできないこと」が答えで、いかにその事実を納得度をもって、かつ、戦犯のプライドを傷つけずに語ることができるかどうか、ここが、ポイントなのである。
生き残るためのシンプルかつ唯一の方法
さらに、精緻な事業の評価を通し再建計画を立てる。投下される資本は、用途をしっかり握る。
負け戦を繰り返してきた経営者に自由になる資金を与えても、穴の空いたコップに水を注ぎ込むようなものだ。経営者の首に鈴を付けるかシステムそのものを見直しするなど、ガバナンスと意思決定の仕組みも確認しておく必要がある。
今まで「思う、感じる」という「感覚」経営を続けてきた経営体質の抜本的な改革が始まるわけだ。
アパレル業界の再編は、今後ますます増えてゆくだろう。世界競争から隔絶され、我が世の春を謳歌してきたアパレルに世界戦が待ち受けている。
生き残るための施策はただ一つ。それは、「顧客にとって何がよいか」という質問を徹底的に自ら問いかけ、恒常的に顧客に価値を提供し続けることだ。
日本からグローバルに通用するブランドが育つことを切に祈っている者として、今一度原点回帰を世に問いたい。
河合拓氏の新刊、大好評発売中!
「知らなきゃいけないアパレルの話 ユニクロ、ZARA、シーイン新3極時代がくる!」
話題騒然のシーインの強さの秘密を解き明かす!!なぜ多くのアパレルは青色吐息でユニクロだけが盤石の世界一であり続けるのか!?誰も書かなかった不都合な真実と逆転戦略を明かす、新時代の羅針盤!
プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
河合拓のアパレル改造論2024 の新着記事
-
2024/11/19
ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果 -
2024/11/12
アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由 -
2024/11/05
ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方 -
2024/10/29
ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは -
2024/10/22
事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは -
2024/10/15
利益5000億円越え!世界で圧巻の強さのユニクロが中国で苦戦する理由とは
この連載の一覧はこちら [47記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-11-05ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方
- 2024-11-12アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-11-13値上げしたのにアパレル業界が利益に結び付かない2つの理由
- 2024-11-07同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販