長期対策としての価格切り下げの手順

桜井 多恵子(チェーンストア経営システムコンサルタント)
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価格帯構成を切り下げ、値入れの原則を確立

 ディスカウンティングフォーマットの確立には、価格切り下げのための作業が必須だ。図表はその手順を示したものだ。分業してこの順番で対策を進めれば低価格化が進み、安定供給が可能になる。

Ⓐベーシック商品対策では、「❶商品ライン構成の切り下げ」は最初のステップである。商品ラインとは、品種を価格帯別に分けた商品群のことだ。本連載の第6回で説明した商品構成グラフに現れる低・中・高の価格帯で、商品を分け、計3~5の商品ラインをつくる。そのなかから強化するラインと扱いをやめるラインに分ける。

 扱いをやめる商品ラインは、商品構成グラフの右寄りに現れる高価格帯商品である。それらは低購買頻度品であり、したがって大商圏型の商品だから販売数量が少ないのだ。第6回でも述べたが、それらを扱うことにより仕入れも商品管理も業務が煩雑になり、大量に売れる低価格の商品ラインに集中できなくなる。そのためディスカウンティングフォーマットをめざすならそれらは諦めて、価格レンジ(売場の下限と上限の幅)を決めねばならないのだ。

 この作業をすることなく次のステップに移れば、無駄な業務が増えるだけでなく、新フォーマットの成功は望めない。この第1段階には十分に時間をかけて取り組まねばならない。

ビジネス コスト 会議
価格切り下げのため、分業して対策を進めれば低価格化が進み、安定供給が可能になる (i-stock/ArLawKa AungTun)

 集中する商品ラインが決まったら「❷品目別値入れを履行」する。絶対してはならないのは仕入れ価格に一定の値入れ率を加算して売価を決めることである。その結果はお客にとって安さを感じなかったり、安すぎてかえってほかの商品が高く見えたりと、弊害が増える。また、仕入れ価格はその都度仕入れ先の在庫状況で決まるものが多いため、同じ品目でも仕入れ価格は大きく変化するからだ。

 売価とは常にお客が買いたくなる価格であるべきだ。それを決めるためには他社の売価を調べる必要があり、商品構成グラフの出番になる。

 つまり売価が先に決まり、値入れ率は品目ごとに変化することになる。したがって誰もが頻繁に購入する必需品の売価は他社との競争を意識して低く設定しなければならず、値入れ率はおのずと低くなる。

 一方、他社との競争が少ない自社独自の生活提案品なら、売価は比較的自由に決められるから値入れ率は高く設定できる。また、自社開発の商品は仕入れ価格がもともと低いから、仕入れ商品と比べて売価は低く設定可能で、同時に値入れ率も高くできるから増やさねばならないのだ。

 他社に負けない低価格を打ち出すとなると

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