アプリやテック企業との連携で進む、米小売業のサステナブル施策とは
米国では記録的なインフレに見舞われながらも、サステナビリティに対する消費者意識が高まっている。そうしたなか、米国の小売業界では、業態・業種の垣根を越えて提携し、サステナビリティの取り組みを進めている。なかでも果敢な試みが見られる、「プラスチック製買物袋の削減」「サステナブルな商品パッケージ」「食品廃棄ロス削減」の3つの領域で、有力チェーンの先進的な事例を紹介する。
電子タグやレンタルで買物袋を削減へ
米国消費者のサステナビリティに対する意識の高まりを象徴する事例として、2022年7~8月、世界有数の価格アドバイザリー企業が米国人1003人を対象としたアンケート調査では、約65%が「購入時にサステナビリティを考慮している」と回答している。
しかしこれとは対照的に、米国では、プラスチック製買物袋の年間消費量約1000億枚(推計)のうち、そのリサイクル率は10%に満たないという現状がある。カリフォルニア州やニューヨーク州、コネチカット州など、プラスチック製買物袋の使用を禁止する州も増えてきた。
こうしたなか、「プラスチック製買物袋の削減」のためのサステナブルなソリューションの創出を目的として20年7月に立ち上げられたのが「ビヨンド・ザ・バッグ・イニシアチブ(Beyond the Bag Initiative)」だ。
小売最大手のウォルマート(Wal-mart)、ターゲット(Target)、ドラッグストア(DgS)チェーンのCVSヘルス(CVS Health)が創設パートナーとして計1500億ドル(21兆円:1ドル=140円で換算)を拠出し、食品スーパー(SM)のクローガー(Kroger)やアルバートソンズ(Albertsons)、エイチイーバット(H-E-B)、マイヤー(Meijer)らも参画している。
このイニシアチブでは、20年8月にソリューションのアイデアを公募。60カ国以上から455件が寄せられ、21年2月に9件のアイデアが選出された。21年8~10月には、カリフォルニア州北部のウォルマート、ターゲット、CVSヘルスの計9店舗で実証実験が行われている。
たとえばウォルマートのサンタクララの店舗では、
サステナブルリテイリング2023 の新着記事
-
2023/08/31
「サステナ買物」消費者調査!価格が多少高くても3割超が購入に前向き? -
2023/08/31
サプライヤー、スタートアップとも連携 英テスコが進める大胆な温室効果ガス削減策とは -
2023/08/30
アプリやテック企業との連携で進む、米小売業のサステナブル施策とは -
2023/08/30
小売業のサステナビリティ推進もサポートする三菱食品の持続可能な戦略とは -
2023/08/29
「DBJ環境格付」取得のフレスタが行うサステナブル施策とは -
2023/08/29
学びやアプリ、ゲームでアクションを促す、生協のサステナブルの取り組みとは
この特集の一覧はこちら [13記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-05次世代型「AIショッピングアシスタント」とは
- 2024-06-10発表!米国小売業ランキング2024!ウォルマート好調も、業態で明暗
- 2024-11-01日本展開に意欲!英テスコがネットスーパーの“外販”開始、高い実力とは?
- 2021-03-22SDGsで先行する欧米食品スーパーの現状は?ウォルマート、クローガー、テスコの事例を紹介
- 2023-04-19アマゾンゴー米国8店舗閉鎖の理由と、クローガーの年10億 ドルリストラ策
- 2023-06-08アメリカ小売業トップ10社ランキングに見る、大手企業の最新動向!
- 2024-01-20英国でセインズベリーがアルディからシェアを奪取!その手法とは
- 2024-06-06アメリカで相次ぐ、セルフレジの”戦略修正”
- 2024-10-09海外3000 店うちアメリカ1000 店に向けアクセル!ダイソー海外戦略のすべて
- 2023-09-07ロカボ・糖質オフ商品の購入者像を徹底分析!市場拡大のポイントとは?