ヨークベニマル大髙善興会長が語る、“つぶれない中小小売業”の条件とは
強い中小チェーンには、エネルギーと緊張感がある
――スーパーマーケット業界では再編の話が持ち上がっているが、ヨークベニマルとしてはどのように考えているか。
大髙 将来、自分たちと哲学や理念を共有でき、スケールとシナジーをお互いに生かし、常にイノベーションを共有できる企業であれば、協業も可能性の1つとしてある。
当社では、商品開発などをセブン&アイグループで推進してきた。とはいえ、売上規模が大きくなったからと言って、マーケットの中で強いかと言われれば必ずしもそうではない。
会社が大きくなると、(売上高や利益が大きくなったと)錯覚してしまい、環境の変化に対応できないケースがある。先日もある中小チェーンが大手の傘下に入った。だが、緊張感と危機感を持っていたからこそ、こうした中小小売は経営を維持していけたのだと思う。
――今後、中小チェーンが生き残っていくには何が必要か。
大髙 「自分の会社は自分で守る」という哲学を持っている中小チェーンは、絶対につぶれないと考えている。規模が大きくなり、商品と販売が分かれてチェーンオペレーション化し、緊張感がなくなると会社はつぶれていく。スケールとシナジーを生かさない、バラバラの経営では企業は崩壊してしまう。
当社は、(店舗づくりに関して)7割がチェーンオペレーションで標準化しており、残りの3割は店長や地区のスーパーバイザー、ゾーンマネージャーで地域のマーケットのニーズや特性に応える体制にしている。
(市場環境の変化が激しいなかで、)外部環境を嘆くのではなく、内部にあるムリ・ムダ・ムラをなくしていくことが成長につながると思っている。当社としては、「今日よりも明日。明日よりも明後日」の精神で原理原則をしっかり押さえ、技術やマネジメントレベルを地道に上げていきたい。