ユニバース三浦紘一社長が憤る「ポイント還元対象の中小SMチェーンとの不平等な戦い」

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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生鮮強化で競合に打ち勝つ!

ユニバース生鮮食品売り場

──SM業界全体の状況についても教えてください。ネットがリアル小売に与える影響をどのように見ていますか。

三浦 それこそ一時期は、「もう新店はつくれないのではないか」とまで考えていました。ですが、状況を見ていると食品が最もECで買われないものである、ということもはっきりとわかってきました。

 海外に目を向ければ、ウォルマートが随分と経営資源をつぎ込んでEC事業を強化しています。こうした動きが日本国内にも影響を与える可能性も否定できません。また、労働条件がまったく違いますのですぐに進出してくることはないと思われますが、中国も食品ECの分野で先行しています。

 今後も(食品のEC比率は)少しずつ上がっていくとみて間違いないでしょう。なにかのブレイクスルーがあって、一気に上がることも覚悟しなければいけません。

──ドラッグストア(DgS)も影響力を強めています。

三浦 食品を扱うDgSが増え、「DgSのほうが(SMよりも)安い」という声もよく聞きます。最も影響があるのは菓子です。ある県ではSMよりもDgSのほうが菓子を売っているという話も聞きました。そういう点では影響はあると言えるでしょう。

 最近は生鮮食品を扱うDgSもありますが、幸いなことに当社の商勢圏ではあまりいませんので、そうした生鮮DgSの影響はまだ先の話になるでしょう。

 生鮮食品と医薬品では購買頻度がまったく異なります。生鮮食品を主戦場とするSMとしては、やはり生鮮食品でお客さまを呼び込みたい。急にはできませんが、生鮮食品の売上高比率が高い店をつくっていきたいと考えています。既存の店舗についても同様です。

──今後、ローカルSMが戦っていくためには何がカギとなりますか。

三浦 マーケットシェアが非常に重要であると考えます。当社は、リベートのほかさまざまな点で、メーカーさんから非常によくしていただいています。売上高1000億~1500億円ほどの企業で、当社ほど厚遇を受けている企業はないのではないでしょうか。

 なぜそれが可能なのかと言えば、マーケットシェアが関係しています。あるメーカーさんからは「青森県で売上を増やすにはユニバースさんに頼むしかない」と言われるほど、当社のことを信頼していただいています。単純な売上高の確保というだけでなく、メーカーさんとの信頼関係という意味で、マーケットシェアを落とさないことはやはり重要です。

──マーケットシェアを高めるためには、どのような打ち手が考えられますか。

三浦 ディスカウントストア業態のような安売りはできませんが、お客さまから見て「高くないこと」が重要です。お客さまに許容していただける売価設定です。あとは、いかに鮮度や品質を向上させていくか。これに尽きると思います。

ユニバースの直近3カ年の業績推移

※各年2月期の連結業績 単位:百万円、%

営業収益 増減 経常利益 増減
2016年度 121,009 2.3 5,282 ▲0.1
2017年度 123,901 2.4 5,219 ▲1.2
2018年度 124,689 0.6 5,230 0.2
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