関西進出のオーケー、データでみるその「強さ」と京阪神M&A戦略のゆくえ
オーケーの強さを知る「あのチェーン」
アウェイとはいえ、オーケーが乗り込んでくれば、関西のスーパーマーケット各社は無傷で済むはずはない。そのあたりは、業界トップ企業であり、首都圏中心部でオーケーとしのぎを削ってきたライフが最もよくわかっているだろう。
スーパーマーケットは特定のエリアに集中出店し商勢圏を築くと、その隣接エリアに店舗網を拡大していくかたちでの出店を基本としている。そのなかで、ライフは首都圏と京阪神の中心部にそれぞれ店舗網を築いているため、関西勢として唯一、オーケーと直接対峙してきた経験を持つ。
ライフは国内トップのスーパーマーケット企業だが、首都圏だけをとってみれば、オーケーの後塵を拝して久しい。2006年時点では、首都圏における売上高はライフが1739億円、オーケーが1258億円とライフがリードしていたが、2022年時点では、オーケーが5249億円、ライフが3686億円と逆転したうえに、1500億円以上の差をつけている状態だ。
国内最大のスーパーマーケット企業であり、京阪神において万代と並んでシェアを拡大してきたライフにしてこの状態であるのだから、その他の京阪神のスーパーマーケットは戦慄せざるを得ないだろう。ただ、ライフ以外の関西勢は直接オーケーと対峙するという実体験は持っていない。
“地方予選大会”のスーパーマーケット業界で……
スーパーマーケット業界はいまだ“地方予選大会”の段階にあり、全国的に店舗展開しているチェーンはまだ存在しない。ほかの業態は、同業であれば、全国展開している「ユニクロ」「ニトリ」「無印良品」といったトップ企業の実力が身にしみてわかっていることだろう。だがスーパーマーケットの場合は、展開エリアが違えば状況は大きく異なる。オーケーのようにずば抜けた実力があったとしても、関西では「誰やねん」ということになる。
今回、オーケーにとって必要なのは、京阪神に実店舗をもって出現し、地域の同業に痛みをもってその実力差を認識してもらうことなのであろう。おそらく京阪神のスーパーは、オーケーと実際に対峙して初めて、図表①のデータを再認識することになる。
前述の二宮社長の「オーケーが知られていない」というコメントは、業界関係者にこうした体験がなければ、関東者であるオーケーの京阪神M&A戦略は成立しないという趣旨だと筆者は解釈した。
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