中計スタート「新店のほか既存店活性化にも積極投資する」=ユニー前村哲路 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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「ミニピアゴ」、5年で300店

ユニー

──この7月には、公募増資と伊藤忠商事(東京都/岡藤正広社長)を割当先とする第三者割当増資を実施しています。最終的な調達額である二百数十億円を何に投資しますか。

前村 来期以降、積極的に出店し、攻めの経営に転じていきます。ユニーではモール型SC(ショッピングセンター)や大型商業施設などを、少なくとも年間2店は出します。すでに準備を進めており、物件もメドがついています。また既存店にも積極的に投資します。毎年5店舗を建て替え、もしくはそれに近いかたちで、てこ入れしていきます。冒頭話したように、社会の構造的変化の影響で、既存店の伸長が見込めない時代になっているため、活性化させながら今の収益をキープしていく考えです。

 一方、サークルKサンクスはこれまで出店が少なく、過去5年間を見ると、総店舗数はほとんど増えていません。今後、毎年200店近い純増となるよう、こちらも積極的に新店を出します。

──サークルKサンクスは、日販額の伸長も目標のようですね。ポイントはどこに置いていますか。

前村 女性客の取り込みです。キーとなるカテゴリーのひとつは総菜。業界トップのセブン-イレブンさんと比較すると、総菜の売上高構成比は10%以上の差がついています。今後、積極的な商品開発で女性の支持を得られる品揃えを実現していきたい。

 もう1つはスイーツです。こちらは新たな什器を取り入れていきます。アラウンド型の冷蔵ケースなど、商品を効果的に見せることができるような什器を導入します。これらにより前年度、48万9000円だった日販額を、50万円半ばを目標に、業界2、3位のローソンさん、ファミリーマートさんの水準以上にまで引き上げます。

──一方では、狭商圏をねらった小型店である「ミニピアゴ」の展開にも力を入れています。

前村 17年までに現在の5倍にあたる300店(売上高600億円)を目標に拡大していきます。出店するのは首都圏。近く、ユニーとサークルKサンクスの物流センターを共有する体制へ移行しますが、これにより「ミニピアゴ」も効率的に店舗展開ができるはずです。

 「ミニピアゴ」は、商圏を“買物不便者”の多い半径500~800mと設定しています。競合店は少ないですからビジネスチャンスは大きいと見ています。

 ただ、「ミニピアゴ」は本拠である中京圏での事業展開は考えていません。中京圏には、近くに売場面積500~600坪のSMが多く、さらに多くの人の来店手段がクルマであるため、「ミニピアゴ」には向かないだろうと考えているからです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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