中計スタート「新店のほか既存店活性化にも積極投資する」=ユニー前村哲路 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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商流合理化で70億円

──低価格戦略を推進するための原資は、いかに捻出するのですか。

前村 グループ企業の再編を進める一方、従来の仕事のやり方を見直し、利益改善していきます。

 その一環で、今年7月までに傘下にあったサークルKサンクス(東京都/中村元彦社長)の普通株式をすべて取得しており、9月中に完全子会社化の手続きを終えます。一方、社内に新たな組織を設け、商流や物流、商品などについて合理的な体制を再構築、価格訴求の原資を確保します。

 また、来年度(14年2月期)からは中期経営計画「ユニーグループシナジー5ヶ年計画」がスタートします。最終年度の18年2月期には、上記の取り組みを通じ100億円の利益改善を図ります。

 利益改善計画は、すでに取引先の新規開発や取引条件の見直しなど、前倒しで進めています。その分野を担当する部署として、今年8月21日付けで、社内にグループ商品企画部を新設しました。ここにはユニーとサークルKサンクス両社の社員を混在させています。

 同部の下には住居関連、和日配、洋日配、生鮮、飲料、菓子、加工食品の7分野の担当を置き、共同で新商品を開発していきます。来年度からは総勢30人の体制になります。

──では実際の「100億円利益改善計画」のプロセスを教えてください。

前村 持ち株会社を設立し、グループシナジーの最大化を図ります。ユニーとサークルKサンクスを合わせたユニーグループの改善額は60億円、サークルKサンクスのFC(フランチャイズ)加盟店は40億円の計100億円。ユニーグループでは初年度に7.5億円、3年目に47.5億円、5年目に60億円と年度ごとに目標を決め、段階的に改善します。

──その中、大きな改善が期待できそうな分野はありますか。

前村 実は、同じ商品でもエリアにより仕入れ先が異なっているケースが多いのです。この場合、仕入れ先を一本化したうえで、仕入れ原価の統一のほか、取引条件の見直しなど商流を合理化します。FC加盟店分を含めたユニーの改善は16億円、サークルKサンクスは54億円の計70億円と、最も高い効果を見込んでいます。

 物流にもメスを入れます。現状では各地にあるメーカーのセンターから、ユニーとサークルKサンクスのセンターへ商品が個別に配送されています。在庫の管理法もまちまちです。これを、新たに設置するマザーセンターを経由し、配送する体制に組み替えることで7億円の改善額を考えています。

 このほかにも現在700SKUある「StyleONE」を1200SKUにまで拡大します。これによって8億円の利益貢献ができるはずです。

──社内では計画を進めるための組織も着々と整備しているそうですね。

前村 はい、先ほどのグループ商品企画部のほかにも、すでにグループIT販促部、グループ品質管理部といった組織を立ち上げています。今お話しした計画も、それぞれの分野により担当部署を中心に改善を推進していく考えです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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