SMは着実に地域シェアを拡大することでしか勝ち残れない=アークス 横山清 社長
ということは北海道のマーケットが再び拡大することは期待できないわけで、むしろマイナス成長の中でどうするのかを考えなければなりません。
しかしながら、競合店が1店なくなれば、そのエリアで展開している他の店舗の売上は2割ほど増えます。その繰り返しで、高い生産性を持ち、競争優位性のある店舗、企業は残っていくわけです。つまりマーケットが縮小していっても、店舗あるいはその地域に根差す企業がシェアを高めるということが起こるわけです。私はこれを「縮小拡大」現象と命名しました。この現象は今後、多くの産業で見られるようになると思います。
──SM同士の競争に加えて、他の業態との“パイの奪い合い”も激しくなっています。
横山 確かにホームセンター(HC)やドラッグストア(DgS)が食品をどんどん取り扱うようになり、SMの売上は“食われて”います。これは全国的な傾向と言えます。
当グループはカインズ(群馬県/土屋裕雅社長)のエリアフランチャイジーとして、カインズホーム大曲店(北広島市:2008年6月開業)を運営しています。なるべく早期に「3店舗100億円」体制にし、HCやDgSに取られた食品の売上を非食品の分野で取り返したいと考えています。
このように、SMは、SMのみならず、HCやDgSなどとも競争をしなければならない時代になりました。そういった意味では今後、SM企業がHCやDgSを展開し、 食品と非食品を合わせた地域トータルのシェアを高めていく戦略が必要になってくるのではないでしょうか。
「異体同心」のムカデ経営で
「創発現象」を起こす
──競争が激しさを増している中で、アークスグループは09年10月に現在の東光ストア(札幌市/加固正好社長)を傘下に加えるなど、着実に企業規模を拡大しています。
横山 そうです。アークスグループには、SM事業会社として、ラルズ(札幌市/齋藤弘社長)、東光ストア、福原(帯広市/福原朋治社長)、ふじ(旭川市/六車亮社長)、道東ラルズ(北見市/渡辺友則社長)、道北ラルズ(旭川市/守屋澄夫社長)、道南ラルズ(函館市/馬場利昭社長)の7社があります。一つひとつの企業では大手と渡り合えなくとも、7社がそれぞれの自主性を重んじて1つにまとまり、北海道でどのような力を発揮できるのかということで、これまで「八ヶ岳連峰経営」と呼んで取り組んできました。11年2月期末のグループ店舗数は203店、合計売上高は3036億円までになっています。