「これから100年は厳しい時代が続く」原点回帰で足場固めを急ぐ=ユニー 前村哲路 社長
頂新グループと提携
上海に1号店出店へ
──日本は人口減少社会に突入しました。国内マーケットは縮小し、少子高齢化が進んでいきます。日本企業の中には、海外進出に活路を見出す動きも目立っています。ユニーも中国市場で小売、製造、飲食などを手掛ける最大手の食品メーカー「頂新国際集団」とアライアンスを組みました。
前村 日本は人が減り、国内事業はジリ貧になります。この先は一気に店舗網を拡大できるような環境にありません。
当社の現在の年商は1兆円以上ですが、このまま放置すればいずれ1兆円を切るでしょう。だから中国で事業を拡大する必要があるのです。頂新グループと組んだことで、今後の成長に向けた大きな切符を手にできたと感じています。
頂新グループは1兆円企業ですが、現在でも売上高伸長率20%、利益伸長率30%と驚異的な急成長を続けています。ユニーが70%、頂新グループが30%出資して合弁会社を設立し、上海に出店する計画です。頂新グループはさまざまな企業とアライアンスを組んでいますが、出資比率で過半数を握るかたちで合弁企業を設立したのは、ユニーが初めてのケースだそうです。
──1号店の出店はいつですか。
前村 現段階では12年末を予定しています。自社開発ではなく、デベロッパーと共同開発する計画です。2号店は13年秋に出店の予定です。
出店形態は日本国内で展開している「アピタ」業態をイメージしています。当社がノウハウを持ち、得意とするスタイルをもとに店舗を開発し、中国国内で店舗網を拡大していきます。
── 一方、国内に目を向けると、過疎地だけでなく都心部でも、近所に買物をする場がない「買物難民」の問題が浮上しています。
前村 昨夏、ネットスーパーの業務委託先のサーバーが不正アクセスによる攻撃を受ける事件が発生しました。この影響で当社のネットスーパーはサービスを一時中断していました。今年2月から再開しており、今後は少しずつサービス範囲を広げていく予定です。
現在は名古屋市内だけですが、来年には愛知県、三重県、岐阜県といった中京圏全域をカバーしていきます。
──ネットスーパーに取り組む企業は増えていますが、現時点では収益面に課題が残ります。
前村 実際にネットスーパーのサービスを始めてわかったのは、消費者からの要望が強いということです。買物したくても行くことができずに不自由されている方が増えています。お客さまに必要な商品をお届けする「御用聞き型」の商売の必要性を感じました。とくに当社のような総合小売業は、避けては通れない事業だと考えています。
日本のマーケットは今、大きく変化しています。小売業が取り組むべき課題も数多くあると認識しています。
ユニーは今期、ホームセンターや書店といった専門店事業部の活性化、環境問題への取り組み、関連企業によるシナジー創出などを重要テーマとして掲げています。
これらの施策を推し進め、足場を固めながら、新たな100年を着実に歩んでいきたいと思います。