「これから100年は厳しい時代が続く」原点回帰で足場固めを急ぐ=ユニー 前村哲路 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──ユニーは東海圏と関東圏でドミナント展開しています。店舗展開エリアのメーンは東海圏ですが、関東圏の出店計画はありますか。

前村 関東圏への出店は十分にあり得ますし、実際に物件情報も集まりつつあります。

 埼玉県と愛知県の人口は700万人程度で、マーケット規模が非常に近い。しかし当社の既存店の店舗数は愛知県内に100店舗以上あるのに対し、埼玉県には6店舗しかなく、非常にアンバランスなのが現状です。

 埼玉県内への直近の出店は10年に開業した「ピオニウォーク東松山」(埼玉県東松山市)で、オープン後の売上は好調に推移しています。これからは埼玉県に加えて、神奈川県への出店も視野にドミナント化を進めていきます。

──都心部では小型SMが注目されています。ユニーには都市型フォーマット「ラ フーズコア」がありますが、都市部での店舗展開について教えてください。

前村 「ラ フーズコア」業態は、ややアップスケールなフォーマットで、都市部を中心に出店してきました。中には売場面積が300坪以下の小型店もありますが、非常に難しいと感じています。

 当社としては、SM業態には600~700坪程度の売場面積が必要だと考えています。現状では、150坪前後の小型SMを出店する考えはありません。

──前期に現場(店舗)への権限委譲に取り組みました。この取り組みで現場の雰囲気は変わりましたか。

前村 08年秋のリーマンショックの影響もあり、10年2月期は店舗に活気がありませんでした。新たな期がスタートした10年3月時点では、月次予算を達成している店は全体の30%程度しかなかったほどです。

 そこで、活性化策のひとつとして、各店舗独自の社内コンクールの予算を出すことにしました。ある店では、視覚的にアピールできる売場づくりをテーマに掲げ、部門間で競い合う企画を立てました。このコンクール方式を採り入れたことで、かなり成果が上がりました。こうした取り組みもあって、11年2月期末時点は9割近くの店舗が予算を達成するまでに回復しました。

──予算を達成した店舗には、社長からお礼状を出すそうですね。

前村 予算を達成した店舗には、私がお礼文を書き、サインをして送ります。対象店舗は100店舗以上ありますから、書くのに3時間以上かかります。それでもお礼状を書くのは、そのことによって「見られている」「評価されている」と強く意識すると思うからです。

 私も過去に店長を経験しましたが、店舗の業績は店長の意欲ひとつで大きく変わります。会社の規模が大きくなれば、人のつながりが希薄になり、次第に企業力が弱くなる。人間味のある関係を保てるような組織をつくっていきたいですね。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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