「これから100年は厳しい時代が続く」原点回帰で足場固めを急ぐ=ユニー 前村哲路 社長
──11年2月期の連結決算は、営業収益が1兆1127億8100万円円(対前年比1.9%減)で微減となる一方、営業利益351億100万円(同66.4%増)、経常利益322億8200万円(同69.7%増)と大幅増益を達成しました。最終損益は60億4600万円で2期ぶりに最終黒字となっており、業績が上向きつつあるようです。
前村 前期は「原点回帰」をテーマに掲げ、マーチャンダイジング(MD)改革、現場主義、ローコスト経営の3つを重点施策として推進しました。
1つめのMD改革は、高品質、低価格で、なおかつ利益が出る商品を拡販しようというものです。2つめの現場主義は、店舗へできるだけ権限委譲し、自発的な創意工夫を促しました。最後のローコスト経営は、ここ数年、力を入れている店舗作業の効率化のほか、従業員からの提案による改善活動に取り組むことで、コスト低減を図るものです。
こうした一つひとつが、少しずつ実を結んできたと見ています。
──今期に入って、足元の状況はいかがですか。
前村 昨年9月以降は売上高の前年実績をクリアしてきました。前下期だけを見ても粗利益率は対前期比1%弱改善しています。これは前期に掲げた課題の改善に取り組んできたことが功を奏したと評価しています。
生産拠点の脱・中国をめざす
──今期の具体的な取り組み方針を教えてください。
前村 現在、実施しているのは「7つの基本戦略」です。総合スーパー(GMS)事業の改革、店舗開発、ITビジネス、海外出店、既存事業部の活性化、グループシナジー、エコ・ファーストの約束──の7項目からなります。この基本戦略で足場を固め、この先の100年間に向けた基礎を固めます。
──その中で、GMS事業の改革はどのように進めていくのですか。
前村 前期に実践したMD改革、現場主義、ローコスト経営の3つの改革に引き続き取り組み、さらに進化させていきます。
MD改革については、衣料品のプライベートブランド(PB)開発で、すでに成功例が出ています。たとえば吸湿、発熱機能が特徴の機能性肌着「ヒートオン」です。この商品は一つのカテゴリーで400万枚を売る大ヒット商品になりました。その点では先ほど話したように高品質、低価格で利益が出る商品づくりがかたちになってきたと自負しています。
次は実用衣料だけでなく、アウターなどファッション衣料でも同様の成果を出せればと思います。