就任から約1年、良品計画の堂前宣夫社長が示す“本業としてのESG”の道筋

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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ESGの事業化を推進

 6つの課題の中で堂前社長が「これがいちばん大事」と強調するのが「本業としてのESG推進」だ。行政との連携を密にするほか、一部既存店で展開中の「まちの保健室」を軸とするヘルスケア事業、地域産業となる農と食の事業、使われていない不動産や自然資源、文化・伝統など地域の未利用資源を活用した観光や移住、体験といった事業など、地域社会によい影響をもたらす取り組みの事業化をめざす。「良品計画、無印良品はESGを本業としている。これを社員一人ひとりが認識して、当たり前のように、ESGという言葉を使わなくても、ESGが進むような体制をつくっていきたい」と堂前社長は力を込める。

「無印良品広島アルパーク」内の「まちの保健室」
「無印良品広島アルパーク」内の「まちの保健室」

 決算と同時に発表された役員人事では、新任の社外取締役が3人選出されている。ここにもESGの事業化を推進する戦略が表れており、「今後、地域課題を解決するうえで事業が未経験の領域に広がっていくなかで、外部の知見のある方々と一緒に議論しなければならない」(堂前社長)という。

 「無印良品港南台バーズ」(神奈川県横浜市)や「無印良品東京有明」(東京都江東区)をはじめ、以前から多くの店舗で地域社会の課題解決に取り組んでいる良品計画。ESGやサステナブルという言葉が一般化する前からさまざまなことに取り組んできた同社の事業領域は、単なる小売企業の枠を超えつつある。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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