巣ごもりで市場拡大も今後は縮小トレンドへ……再編不可避、ホームセンターの生き残り戦略とは

中井 彰人 (株式会社nakaja labnakaja lab代表取締役/流通アナリスト)
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生き残りを賭けた業界再編が加速か

 さまざまな市場開拓をめざしつつも、業界再編で生き残ろうとする代表格はDCM(東京都)であろう。「ホーマック」「カーマ」「ダイキ」という地方の業界大手が経営統合してできたこの会社は、着々と地場有力HCを仲間に入れて、持分法適用関係会社であるケーヨー(千葉県)と併せればその規模は「カインズ+ハンズ」と拮抗する勢力だ。

 バローホームセンター(岐阜県)とダイユーエイト(福島県)、タイム(岡山県)の3社が連合するアレンザホールディングス(福島県)も、こうした生き残りをめざすグループである。そして、昨年はビバホームを買収したアークランドサカモトがアークランズ(新潟県)となり、3000億円プレイヤーとして名乗りを上げた。巣ごもり需要が終息しつつある今、これらの「合従軍」の拡張活動は本格化することが予想される。

 ニトリとDCMによる島忠(埼玉県)の争奪戦が勃発したのが、コロナ初年度の2020年年末であった。それまで伸び悩んでいた島忠の業績は、コロナ禍により発生した巣ごもり需要により、久々に上向いていた。改善した業績を背景に、島忠は高い評価を受けてニトリに迎えてもらうことができたといえる。

 市場が縮小に向かう中、生き残り競争が激化するHC業界にとって、皆、似たような環境下にあるといえる。つまり、売るなら巣ごもり需要に支えられた業績の今が最高値だ、ということである。今後数年の間に、HC業界の地図はさらに大きく変化するかもしれない。

 つい最近、旧村上ファンド系ファンドがアークランズの大株主となったことが、大量保有報告書によって明らかとなり、一部話題となっている。アークランズは有力HCジョイフル本田(茨城県)の大株主であることでも知られている。また、ジョイフル本田はアークランズの兄貴分という過去の経緯もあり、店舗運営での親和性も高い。ファンド筋もHC業界の再編がこれから大きく動く、そしてアークランズが何らかの起点となると判断しているようだ。この先も、この業界の再編はさらに大きな動きがある、と周囲も見ているのである。

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記事執筆者

中井 彰人 / 株式会社nakaja lab nakaja lab代表取締役/流通アナリスト
みずほ銀行産業調査部シニアアナリスト(12年間)を経て、2016年より流通アナリストとして独立。 2018年3月、株式会社nakaja labを設立、代表取締役に就任、コンサル、執筆、講演等で活動中。 2020年9月Yahoo!ニュース公式コメンテーター就任(2022年よりオーサー兼任)。 2021年8月、技術評論社より著書「図解即戦力 小売業界」発刊。現在、DCSオンライン他、月刊連載4本、及び、マスコミへの知見提供を実施中。起業支援、地方創生支援もライフワークとしている。

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