巣ごもりで市場拡大も今後は縮小トレンドへ……再編不可避、ホームセンターの生き残り戦略とは
神奈川よりも千葉、埼玉が市場大?その理由は
考えてみれば当たり前なのだが、HCの対応するDIY、園芸、ペット、エクステリア、カー用品などに関連する需要は、郊外で庭付きの広めの一戸建てに住んで、家族の人数分の自動車を所有して暮らしている世帯のほうが多くなる。そのため、東京や神奈川のように人口は密集していても、マンション、共同住宅に住んでいるひとが多い地域においては、HCの需要は薄くなる。
なので、人口900万人の神奈川県よりも、人口700万の埼玉県、600万人の千葉県のほうがHC市場規模は大きく、1300万人の東京都と大差ない規模となる。だとすると、今後のHC業界の市場動向は戸建て住宅に住む人の数がどうなるかを調べることで、ある程度、推測することができるはずだ(図表⑤)。
減少に向かう戸建て住宅数
国立社会保障・人口問題研究所は、日本の「将来推計人口・世帯数」を公表しており、その中に地域別の世帯数の将来予測値についても示されている。また、総務省が5年おきに実施している住宅・土地統計調査をみると、住宅数における戸建て住宅の割合の変化が5年間で約1.2%減ったという実績も把握できる。
これらを加味すると、地域毎に戸建て住宅に住む世帯が2030年にはどうなるか、というある予測値を計算することができる。その結果は、北海道、東北、中四国で5%以上減少するが、首都圏ではほとんど減らないということになる(図表⑥)。概ねイメージの通りでサプライズはないが、大半が首都圏以外の地域を地盤としているHC各社にとっては、厳しい将来予測であることは間違いあるまい。
流通アナリスト・中井彰人の小売ニュース深読み の新着記事
-
2024/09/27
丸亀製麺がはなまるうどんに大きく差をつけた「逆張り戦略」とは -
2024/07/04
コロナが明けても安心できない外食大手の経営環境と深刻な課題 -
2024/05/02
イズミが西友の九州事業を買収、激動の九州小売マーケットを制するのは? -
2024/04/03
セブン-イレブンの7NOW全国展開へ!拡大するクイックコマースへの“懸念”とは -
2024/01/17
主要駅から消える百貨店……ターミナルの新たな覇者となるのは? -
2023/12/25
徹底考察! ドン・キホーテ新業態「ドミセ」出店の真のねらい