巣ごもりで市場拡大も今後は縮小トレンドへ……再編不可避、ホームセンターの生き残り戦略とは

中井 彰人 (株式会社nakaja labnakaja lab代表取締役/流通アナリスト)
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神奈川よりも千葉、埼玉が市場大?その理由は

 考えてみれば当たり前なのだが、HCの対応するDIY、園芸、ペット、エクステリア、カー用品などに関連する需要は、郊外で庭付きの広めの一戸建てに住んで、家族の人数分の自動車を所有して暮らしている世帯のほうが多くなる。そのため、東京や神奈川のように人口は密集していても、マンション、共同住宅に住んでいるひとが多い地域においては、HCの需要は薄くなる。

 なので、人口900万人の神奈川県よりも、人口700万の埼玉県、600万人の千葉県のほうがHC市場規模は大きく、1300万人の東京都と大差ない規模となる。だとすると、今後のHC業界の市場動向は戸建て住宅に住む人の数がどうなるかを調べることで、ある程度、推測することができるはずだ(図表⑤)。

図表⑤ ※「商業動態統計」および総務省「住民基本台帳」(ともに2018年)より筆者作成

減少に向かう戸建て住宅数

 国立社会保障・人口問題研究所は、日本の「将来推計人口・世帯数」を公表しており、その中に地域別の世帯数の将来予測値についても示されている。また、総務省が5年おきに実施している住宅・土地統計調査をみると、住宅数における戸建て住宅の割合の変化が5年間で約1.2%減ったという実績も把握できる。

 これらを加味すると、地域毎に戸建て住宅に住む世帯が2030年にはどうなるか、というある予測値を計算することができる。その結果は、北海道、東北、中四国で5%以上減少するが、首都圏ではほとんど減らないということになる(図表⑥)。概ねイメージの通りでサプライズはないが、大半が首都圏以外の地域を地盤としているHC各社にとっては、厳しい将来予測であることは間違いあるまい。

図表⑥ ※社会保障・人口問題研究所「将来推計人口・世帯数(2019年推計)」および総務省「平成30年 住宅・土地統計調査」より筆者作成

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記事執筆者

中井 彰人 / 株式会社nakaja lab nakaja lab代表取締役/流通アナリスト
みずほ銀行産業調査部シニアアナリスト(12年間)を経て、2016年より流通アナリストとして独立。 2018年3月、株式会社nakaja labを設立、代表取締役に就任、コンサル、執筆、講演等で活動中。 2020年9月Yahoo!ニュース公式コメンテーター就任(2022年よりオーサー兼任)。 2021年8月、技術評論社より著書「図解即戦力 小売業界」発刊。現在、DCSオンライン他、月刊連載4本、及び、マスコミへの知見提供を実施中。起業支援、地方創生支援もライフワークとしている。

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