三菱食品、付加価値型商品を開発する戦略とは
食品卸大手の三菱食品(東京都/京谷裕社長)は、2022年3月期決算において、売上高は1兆9556億円(「収益認識に関する会計基準」適用により前期との比較なし)、当期純利益は対前期比25.9%増の139億円の増益を記録するなど、好調だった。23年3月期は、原価高騰や円安の影響による価格面での対応や、コロナ禍で変化した消費ニーズをとらえたオリジナル商品開発を進めている。同社国内商品開発本部本部長の森川博昭氏に、商品開発において注力するポイントを聞いた。
国内商品開発本部を新設した理由
三菱食品は22年1月、同社のオリジナル商品開発を一手に担う「国内商品開発本部」を新たに設置した。これまでは、加工食品や酒類、菓子、低温商品など、部門別に商品開発を行っていたが、それらの機能を「国内商品開発本部」に集約したかたちだ。そのねらいを同本部本部長の森川氏は「原価高騰や為替変動など、生活者をとりまく環境が変化する中、“生活者のニーズ”をとらえた、マーケットイン型の商品開発機能を強化するため」だと説明する。
三菱食品はここ数年、部門を超えた商品の開発に力を入れてきた。オリジナル商品である「かむかむレモン」を担当する菓子部門と、酒類部門が共同開発した「かむかむレモンサワー」を21年3月に発売開始したほか、UHA味覚糖(大阪府/山田泰正社長)の人気商品「シゲキックス」とコラボした「シゲキックスチューハイ」も20年から販売している。この度の組織改編により、こうしたオリジナル商品の開発により注力していく考えだ。
「国内商品開発本部」では、これまで各部門に分散していたマーケティング業務についても一括で行う体制に変更している。マーケティング業務を同本部に集約することで、市場の全体像を分析し、商品開発に役立てるねらいがある。同本部の人員については、管理栄養士や商品パッケージのデザインなどの専門性を有した人材を育成するほか、外部人材を登用することで、開発機能強化に注力していく。
ただ一方で、昨今の原価高騰と為替の変動の影響は甚大であり、「オリジナル商品の値上げは不可避の状況」(森川氏)だという。そこで、国内商品開発本部では、コスト上昇分を
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