ホームセンター業界で突出!ジョイフル本田の株価が好調な3つの要因とは

椎名則夫(アナリスト)
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要因3 株主構成の特殊性

 同社が資本市場からの評価を重視していることは以上の経緯でお感じいただいたと思います。

 ではどうしてそうなのでしょうか。

 これは上場とその後しばらくファンドが筆頭株主であったこと、ファンドが抜けた後に株主保有が分散し特定株比率が38.7%と同業他社比低いこと、しかしながらアークランズが6.3%保有する大株主であることが関係していると思います。

 LIXILビバを買収し業界再編の一翼を担っているアークランズの目があることで、経営に緊張感が生まれていることは想像に難くありません。

 一方、そうはいっても特定の大株主がいないため、既存株主・潜在株主の双方に対して、企業価値最大化のための最善策を常に示すことが経営に求められていることも、一歩踏み込んだ財務戦略をとらせていると思います。

荒れ模様の資本市場で
ジョイフル本田から学ぶべき点とは?

 実はこの原稿を作成する最中、9月29日にDCMホールディングスが中間決算を発表しました。この際、通期業績見通しは据え置いていますが、通期配当の引き上げと自社株買いを発表し、株価は翌日+10%上昇しました。現行の中期経営計画のKPIである配当性向30%を増配決定でしっかり実現する姿勢と、自社株買いの規模(株式時価総額の5%弱)が好感されていると思います。

 荒れ模様の資本市場のなかで株価が急落した場合、自社株買いや増配を発表する企業が増えていきそうです。その際、成長戦略へのコミットと資本効率へのコミットを両立するメッセージをキャッシュフロー計画とあわせて提示するとその効果が高いと、ジョイフル本田のケースが語っているように筆者は思います。
 
 ジョイフル本田の場合、自社株買いによる株式の需給面での効果はいずれなくなります。株高を維持するには、今までに増して、着実な出店・既存店の強化・利益率の確保という事業面での成果をしっかりと示すことが期待されます。他社の増配・自社株買いの”質”とあわせてこれからしっかりと見守りたいです。

 資本市場も気掛かりですが、10月といえば台風シーズン。年々、自然災害のリスクが高まっています。みなさまが無事にお過ごしになることをお祈りいたします。
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