激変、格差!上場小売業決算2022まとめ 営業収益ランキングトップ10

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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ROAランキングトップは今年もあの企業!

 そのほか、「決算ランキング2021」特集では、ROAやROE、総資産回転率、売上総利益率、在庫回転率、時価総額といった経営指標のほか、既存店売上高や期末店舗数といった小売経営において重要なデータを主要業態別にまとめている。

 ここでは、その中から企業の価値企業の収益性を示す、ROAに注目してみたい。「総資産経常利益率」であるROAは、「企業に投下された総資産を使ってどれだけ効率よく収益(経常利益)を得ているか」を示し、企業の収益性を評価する指標として広く使用されている。

 本特集で掲載しているROAランキングの上位企業を見ていくと、前年度と同じく2トップはセブン-イレブン、ワークマン(東京都)だった。1位のセブン-イレブンの営業利益率は対前期比1.6ポイント(pt)減の25.8%、2位のワークマンは0.4pt増の23.1%。前年度のランキングでは、両社の間には5pt以上の差があったものの、今年度は2.7ptまで差を縮めている。

 ちなみに、両社のようなフランチャイズ方式のチェーンは、自前で資産を使うことなく効率的に店数を増やして利益を増やせるので、直営の小売業よりもROAが高くなる傾向がある。

 3位には前年度に大きく順位を落とした企業が急浮上するなど、大きな変化がみられたROAランキング。3位以下にはどの企業がランクインしているのか。本特集を参照されたい。

2022年度決算のゆくえは?

 22年度決算の焦点となるのは、相次いでニュース報道がなされる通り、やはり値上げの動向だ。さらに電力料金をはじめエネルギー費も高止まりしており、リアル店舗を運営する小売業はコスト増が懸念される。新型コロナウイルス感染症は収束の兆しを見せつつあるが、人流増加により感染が再拡大するとの観測もある。また、22年6月から外国人観光客の受け入れが始まっており、インバウンド需要の動向も注視される。

 22年度も前年度と同等、あるいはそれ以上に事業環境は見通せず、小売各社のトップは難しい経営を迫られる。本特集でまとめている各業態各社の業績指標を読み解けば、次に“勝ち組”となる企業が見えてくるかもしれない。

 

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記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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