百貨店ビジネスを再生できるか、髙島屋が人員2割削減へ

棚橋 慶次
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2023年度営業利益300億円の道筋は

 髙島屋は21年度を初年度とする3カ年計画において、売上高8500億円、営業利益300億円を目標に掲げている。売上高は別として、営業利益はコロナ禍前を上回る計画だ。インバウンドがいつ戻るかもはっきりせず、売上の完全な回復が見込めない中で、百貨店を高収益体質のビジネスモデルに転換しようというわけだ。

 もともと百貨店ビジネスは、高品質の商品・サービスを提供するという特性もあって、人件費や店舗運営の固定費負担が重くのしかかる。固定費が高いため、売上減への耐性も当然弱くなる。

 収益構造が脆弱な百貨店が今日までなんとかやってこれたのは、インバウンドの上乗せがあったからだ。観光客需要が消滅した今、百貨店はビジネスモデル・コスト構造・組織など経営体制全般を見直さなければ、もはや生き残れない。

縮小均衡に陥らないためには

 当然、髙島屋も組織や経費にも手をつける。3カ年計画では、現在約8500人いる要員は8割相当の6900名まで絞り込む。550人の自然減が見込めるが、そのほかにも1100人前後をねん出する。ねん出した要員については当面、送料改訂・清掃・警備といった委託業務の取り込みに充て、経費を削減する。24年度以降は、在籍そのものが減ってくるので、その分は業務再委託で対応する計画だ。あわせて少ない人数で店舗を運営できるよう、大型店舗を皮切りに業務革新をすすめる。

 そうしたコスト構造改革は、ある程度予定通り実行できるだろう。問題は成長性の回復だ。

 髙島屋に限った話ではないが、コロナ禍前多くの百貨店は“インバウンド一本槍”で、既存顧客の掘り起こしやマーチャンダイジングを怠ってきた。百貨店が抱える豊富な販売データを掘り起こすことができれば、既存顧客との関係性を深めたり、新規顧客獲得につなげたりできたはずだ。当然、髙島屋もそうした課題を認識しており、3カ年計画でもお客の声を反映した衣料品の品揃え強化を掲げている。

 果たして百貨店ビジネスを再生し、魅力ある売場づくりや品揃えにつなげられるのか。もしできなければ、コストだけを切り詰める縮小均衡に陥るだろう。

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