コロナ2年目でも業績絶好調、快進撃続くワークマンの懸念材料とは
ワークマン(群馬県/小濱英之社長)が5月9日に発表した2022年3月期連結決算は、営業総収入が対前期比9.9%増(ワークマンでは22年3月期首より「収益認識に関する会計基準」を適用している。増減率の前期数値は組替前の数値、以下同)の1162億円(前期から104億円増)、営業利益が268億円(同11.9%増/同28億円増)、当期純利益183億円(同7.4%増/同12億円増)の増収・増益だった。
「収益認識に関する会計基準」変更により、加盟金の収益計算や仕入れリベート利益組み入れ額などに影響が出たが、当該影響を除外しても、かねて続く増収増益の大きな流れは変わらない。
新店効果により大幅増収!
2022年3月期決算において増収増益を果たしたワークマン。チェーン全店売上高は同6.8%増で、客数(同6.1%増、全店ベース)・客単価(同0.7%、同)ともに前期実績を上回っている。売上伸長の主要因は新店効果だが、既存店売上高も同1.5%増(客数:同1.0%・客単価:同0.5%増)と伸長した。
商品カテゴリー別では、「ワーク&アウトドア」「ワーク&スポーツ」といったプライベートブランド(PB)の伸び(同12.0%増)が増収に大きく寄与した。PB比率は19年3月期の39.7%から62.5%にまで高まっている。
増収効果に加え、生産・売上予測の精度向上による在庫回転日数短縮が寄与し商品廃棄・評価損の減少につながったほか、物流インフラ整備による効率化をバネに配送・外部倉庫保管・物流センターにおける業務委託等を抑制し、営業利益は売上高の伸びを上回る伸びを示している。
キャンプ用品に参入!
コロナ禍の長期化により、日本経済は全般的に沈滞ムードにある。消費マインドも低調で、消費活動は全般的に抑制されている。
ワークマンが基盤とする作業着・制服業界も、経済低迷の影響で法人需要が弱含んだ。厳しい状況下で同社は、「声のする方に、進化する」を基本方針とし、顧客拡大とCS(顧客満足度)向上に取り組んできた。
具体的に注力したのが、新たなPBを中心とした商品開発と、新業態を含めた店舗開発だ。22年3月期はキャンプ用品市場へ本格的に参入し、長年作業着商品などで培ってきたノウハウを活かしてシュラフやテントを発売。機能性の高さと価格の安さから注目を集めている。
ワークマンの参戦は、キャンプ業界に激震を起こした。もともとキャンプ用品は、「スノーピーク」に代表される付加価値型の高価格帯商品と、「キャプテンスタッグ」のような手頃な価格のブランドで市場を分け合ってきた。後者よりもさらに低価格で、十分な機能性を持ったワークマンの商品は消費者の支持を集め、価格破壊とも言える現象となっている。