コロナ特需の終焉で正念場迎えるいなげや 復活のカギを握るのは……
首都圏で食品スーパーとドラッグストアを展開するいなげや(東京都/本杉吉員社長)が2022年3月期連結決算を発表、コロナ特需の反動減もあり減収減益という厳しい結果となった。コロナ前から業績面で低空飛行が続いていた同社だが、市場全体が”コロナ後”に向かいつつあるなか、正念場を迎えている。
スーパーマーケット、ドラッグストア事業ともに減収減益
いなげやの22年3月期連結決算は、営業収益が2514億円(対前期比94.5%)、営業利益は35億円(同50.5%)、経常利益は38億円(同53.2%)、最終利益は23億円(同58.2%)で減収減益となった(同社は22年3月期から新収益認識基準を適用しており、これらは適用後の数値となる)。
事業別では、スーパーマーケット事業の売上高が1946億円(同95.5%)、営業利益は21億円(同40.6%)。コロナ特需の反動を大きく受け、客単価が同2.1%減、既存店売上高が同2.4%減と低調に推移した。また、売上が伸び悩む中で価格販促に注力したほか、人件費が高止まりしたことで利益面も大きく落ち込んでいる。
ドラッグストア事業の売上高は426億円(同98.3%)、営業利益は10億円(同95.5%)と、こちらも減収減益で着地。コロナ禍での”受診控え”が落ち着き調剤部門の売上高は同6.2%増と復調したものの、客数自体は同3.4%減と不調に終わった。利益面では、自動発注の全店導入や作業割当改革といった生産性向上の取り組みによって販管費のコントロールを行ったものの、売上減少をカバーすることはできなかった。
「お客さまの生活様式の変化に対応できなかった」――。いなげやの本杉社長はオンラインで開催された決算発表の席上で、厳しい表情で総括した。