薬王堂が「福祉×アート」のコラボ商品を販売する理由とは
リアル店舗のギャラリー化も視野
今回のコラボに当たって「東北から世界の健康をデザインする」を新ビジョンとする薬王堂グループは、松田氏がこれまで地元岩手県で親しんできた日常の一部でもある。薬王堂のリアル店舗と連携することで、ヘラルボニーとしての可能性が広がると考えた。
一方薬王堂グループは、かねてから東北6県に358店舗あるリアル店舗のメディア化を企図しており、社会課題解決のための商品、情報、サービスを提供する場にしていきたいと考えていた。
そうした両者の考えが合致し、ごく短期間でコラボ企画が実現した。「当社店舗には、1日平均で1店舗当たり500~700人が来店する。コラボ商品を置くだけで、その358店舗分の来店客に見て、知ってもらうことができる」(西郷氏)。
また、今回のコラボ商品の多くは、1つの商品に4点のアートがプリントされている。これには「商品自体をギャラリーにしたい」という思いがあったからだ。購入したお客がトートバッグを肩にして、あるいはスウェットを着て、街中に出て行ってもらえれば、それだけたくさんの人に、田﨑氏のアートの素晴らしさに気づいてもらえる。
薬王堂では、今回の試みは一過性のものではなく、継続的な活動にしていきたいという。「今回は薬王堂店舗およびオンラインストアでの販売にとどまるが、コロナが収束したときには、薬王堂のリアル店舗のギャラリー化にもチャレンジしていきたい」(西郷氏)。
事業の採算面では、通常、薬王堂で扱う同種の商品に比べて価格を上乗せしており、同社に利益も残るような設計であり、事業としての継続性にも問題はないとしている。