「フード&ドラッグ」の最終形態へ?クスリのアオキの戦略、強み、新フォーマットを徹底解説!

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)、松岡 由希子 (フリーランスライター)
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PB投入、店舗間供給……店舗で見える「変化」

 「変化」はこれだけではない。クスリのアオキは21年8月から、自社のプライベートブランド(PB)「A&(エーアンド)」を投入。食品をメーンに本稿執筆時点で約50SKUを展開している。

 コスモス薬品やゲンキーといった競合が価格競争力の高いPBを武器に集客を図ってきたのに対し、クスリのアオキはそれまでPBを持っていなかった。そのため価格面で特筆すべきポイントはそれほどなく、本特集に際して行った利用者への調査でも、「価格の安さ」を来店動機・理由として挙げる声は少なかった。言い方を変えれば、生鮮を含む食品と、医薬品や生活用品といったDgS商材をワンストップで買えるという利便性が、価格面でのハンデを補って余りあるものだったのかもしれない。

 しかし、コロナ禍での景況感の悪化や所得の低迷、原材料の高騰といった社会環境の変化のなかで、消費者の価格に対する感度はさらに上昇。そうしたなかでクスリのアオキとしても価格施策のテコ入れを急務と感じたのだろう。折しも20年5月期に売上高が3000億円の大台に乗ったこともあり、PB投入を決断したとみられる。

 そしてもう1つ、クスリのアオキの強力な武器である生鮮の扱い方についても、少なからず変化が見られる。前出の400坪型では基本的に青果と精肉は扱うとしているが、同タイプの店舗を訪問したところ、店内に加工・調理スペースはなく、近隣の生鮮フルライン型店舗のコンセから供給を受けていた。ウェブサイト上の店舗情報では取扱商品として記載されていない総菜や鮮魚(塩干)も、品揃えこそ絞り込んでいるが販売していた。つまり生鮮フルライン型店舗を“ハブ”として、400坪、あるいは300坪タイプの店舗でも生鮮の扱いを増やしていくとみられるのだ。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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