製造拠点持たない小売はサステナビリティにどう取り組む?三越伊勢丹の答えthink good

堀尾大悟
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一つの正解を押しつけず、社員の「think good」を尊重

 三越伊勢丹グループ内にサステナビリティの意識を根づかせ、ボトムアップでの施策を生みだすメッセージとして浸透した「think good」。そのメッセージを、同グループではさらに顧客、そしてテナントや取引先など多くのステークホルダーへと広げようとしている。

 顧客に対しては、年1回のサステナビリティアンケートを実施し声を拾い上げるとともに、伊勢丹新宿店の「イセタニスタ」と呼ばれる約90名の公式サポーターへ個別にヒアリングや、共創企画も計画している。 

 「お客さまからは『好きなお店がサステナビリティの取り組みを頑張っているのはうれしい』などといった好意的なお声を頂いている。それとともに、例えば『アイム グリーンでリサイクルできる品物や、手放し方のバリエーションを増やしてほしい』といったご意見も頂いている」(塚田氏)。

 また、メインの取引先であるアパレルブランドも、近年ではサステナビリティへの配慮に取り組む企業が増えており、おおむね協調関係が築けているようだ。「当社としても、サステナビリティの取り組みはまだ緒に就いたばかり。取引先とも、どうしたらよりよい提案がお客さまにできるか、伴走しながら考えたいと思っている」(鳥谷氏)。

 一つの正解や価値観を押しつけず、社員一人ひとりの「think good」を尊重し、“多様=百貨”なアイデアを生みだす三越伊勢丹HDのアプローチ。サステナビリティの方針を打ち出しづらいとされる小売業界に、大きなヒントを与えてくれるのではないだろうか。

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