今回のテーマは、昨今、一段と人気が高まっているコーヒーだ。
コロナ禍におけるライフスタイルの変化は、食生活においてもさまざまな変化を及ぼした。いわゆる「お茶をする」機会が増えたこともその変化の1つである。ホットペッパーグルメ外食総研の調査データによると、コロナ前に比べて「コーヒー・紅茶・お茶を飲む頻度が増えた」と答えた人は、36.6%いることが分かった。これは、リモートワークやおうち時間の増加が影響していると考えられる。自宅でコーヒーを淹れるグッズもバラエティ豊かになり、こだわりのコーヒーを自分で淹れるという人も少ない。
そんななか、中食や外食のシーンではどんなコーヒーが求められるのか。豆の産地や品質、焙煎などにこだわり、自分好みの最高の1杯を楽しませてくれるバリスタの存在も重要だが、今回は“進化形コーヒー”にフォーカスし、コーヒーを中心としたドリンクメニュー開発のヒントになりそうなお店を紹介する。※新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、営業日時を変更している場合があります。詳細は、各店舗のホームページや公式SNSでご確認ください。
①暑い沖縄で「エスプレッソトニック」を楽しむ
「Rokkan Coffee CREATORS」
こちらは、“進化形コーヒー”の1つ「エスプレッソトニック」が楽しめるお店だ。エスプレッソトニックとは、エスプレッソにトニックウォーターを入れ、ライムなどの柑橘系をプラスして楽しむコーヒー系飲料。エスプレッソの苦みやコクの深さに、トニックの甘みとシュワっとした爽快感、柑橘系の爽やかさが加わり、すっきりとした大人向けの炭酸飲料ともいえる。コーヒー好きのニーズはもちろん、炭酸飲料の愛好者のニーズも満たすのではないでだろうか。
東京でもエスプレッソトニックを提供しているお店はたくさんあるが、今回はこちらの沖縄にある店舗を紹介したい。ほろ苦くすっきりとしたのど越しのエスプレッソトニックは、近頃人気のマリトッツォのような甘いスイーツとの相性もよく、夏や沖縄のような暑い場所ではさらにおいしく楽しめる。2022年の注目のドリンクメニューとなる予感だ。
店舗名 「Rokkan Coffee CREATORS」
所在地 沖縄県那覇市樋川1-29-9
営業時間 6:00 ~ 18:00 (※日曜のみ17:00閉店)
定休日 日曜日
②豪州のカフェ文化を体感する!
「BYRONBAY COFFEE」
おしゃれなカフェが立ち並び、オーストラリアのカフェ文化を象徴するバイロンベイ・エリア。同店はそこで1989年から営業する「BYRONBAY COFFEE」が日本で展開するお店だ。オーガニックの豆を使い、柔らかで豊かな味わいが特徴のブレンドコーヒーや、オーストラリア発祥の「フラットホワイト」など他では味わえないコーヒーメニューが楽しめる。また、ミートパイやバナナブレッドなど地元の人に愛されるフードメニューも並ぶ。
同店は、商品や業態だけではなく「オーストラリアのコーヒー文化」を消費者に提案しているように見える。サーファーが板を抱えたまま来店しそうな本場さながらの雰囲気は、海外に行きづらい昨今、ニーズが高いのではないだろうか。このような「文化」そのものを味わえるプロダクトづくりは、流通業の参考にもなると考える。
店舗名 「BYRONBAY COFFEE 日本橋店」
所在地 東京都中央区日本橋本町1-5-2 日本橋本町152ビル1~2F
営業時間 8:30~19:00
定休日 不定休
③鮮度抜群の「ミルクブリュー」が飲める
「MILKBREW COFFEE」
ミルクブリューとは、水出しコーヒーならぬ、コーヒー豆を牛乳につけて抽出する牛乳出しのコーヒーのこと。特別な器具などは必要なく、だれもが簡単に自宅で楽しむことができ、かつ新感覚の味わいのあるコーヒーとして今、ひそかに人気を集めている。糖分を入れなくてもコーヒーと牛乳のまろやかな甘みを感じることができるため、大人から子供まで顧客層は拡大しそうだ。
こちらのお店は、ミルクブリューが店名にもなっているカフェ「MILKBREW」のフラッグシップショップだ。直営牧場の搾りたての牛乳を使用しており、そんなこだわりもフラッグシップ店ならではと言える。
ミルクブリューは、使用するコーヒー豆や牛乳、そして抽出する時間などにより味わいが異なる。また、地域ごとのコーヒー店の特徴を楽しめるほか、コーヒーや牛乳をより身近に感じられるという魅力もある。ミルクブリューの今後の可能性に注目だ。
店舗名 「MILKBREW COFFEE」
所在地 佐賀県嬉野市塩田町馬場下甲727
営業時間 水曜~日曜10:00~18:00
定休日 月・火曜日
「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員
有木 真理(ありき・まり)