注文から10~60分での即時配送を実験 約1時間で30件超をこなすROMSとココネットのテクノロジーとは
実験が示す、即時配送ならではの高いニーズ
この即時配送サービスの登録モニターの6割はネットスーパーを利用した経験がなく、2割の人も月1回以下の利用にとどまっている。登録モニターを対象としたアンケート調査では、この即時配送サービスのモニターに登録した動機として「少量で注文できるから」「商品が届くまでの時間が短いから」との回答が多く、実際に利用して満足した点でも「少量で注文できる」「商品が届くまでの時間が短い」がより多く挙げられた。これらの回答結果から、これまでネットスーパーを利用していなかったユーザーでも、この即時配送サービスを実際に利用し、その利便性の高さを実感していることがうかがえる。
脇氏は「少量即時配送型の購買体験にニーズはあり、ネットスーパーとは異なるサービスとして拡大する可能性がある」と分析。萩原氏も「少量から商品を注文でき、短時間で自宅に届く即時配送サービスは、都市部に居住する若年層のみならず、郊外や過疎地、買物に不便を感じる高齢者にも潜在的な需要がある」との見解を示している。
商品の注文から配送までの時間は「MOPU」からの距離によって差異があったものの、注文件数は1㎞圏内と1~2㎞圏内でほぼ同じであり、ユーザーの満足度にも違いはみられなかった。
萩原氏は「即時配送サービスがターゲットとする『今すぐ商品が欲しい』というニーズは一様ではなく、時間帯や利用シーンによって度合いが異なる。『注文から配送までの短時間化』以外に差別化要因となるポイントがあるのではないか」と指摘したうえで、「『どれくらい配送できるか』という配送キャパシティと『いつまでに商品を欲しいか』というユーザーのニーズをバランスさせることが必要では」とオペレーション上の課題を提起する。
ROMSとココネットは、今後も自動化・ロボティクス技術と配送サービスを組み合わせた取り組みを強化し、新たなサービスニーズおよび供給に対応するソリューションを検証していく方針だ。
小売業が即時配送事業に参入するにあたり、貴重な知見とソリューションとなりそうだ。
ネットスーパー新時代 の新着記事
-
2022/01/31
小売経営、サプライチェーン改革の請負人が教える、ネットスーパー参入前に行うべきこととは -
2022/01/31
人口減少時代、ネットスーパーの必然性が高まる理由と、新たな食品小売のビジネスモデルとは -
2022/01/31
食のEC市場は22年に11兆円に!?米国に学ぶ食のEC化4つの対応策と戦略とは -
2022/01/28
角井亮一氏が解説!「ネットスーパーは商圏を実店舗より狭く、既存顧客向けにすべき」理由とは -
2022/01/28
自前のダークストア開始、ウォルトの戦略とは?、スーパー、コンビニとの提携続々 -
2022/01/28
注文から10~60分での即時配送を実験 約1時間で30件超をこなすROMSとココネットのテクノロジーとは
この特集の一覧はこちら [18記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-28売上6000億円超のコープデリ連合会、宅配利益率4%も危機感の理由
- 2021-08-03塚田農場を自宅で味わう「家飲み便」 コロナ禍で売上激減の危機を救ったサービスの全貌
- 2022-05-05冷凍弁当宅配の「ナッシュ」がコロナ禍で販売数を8倍に伸ばした方法
- 2024-06-16コロナ後も堅調! ミールキットのパイオニア、ヨシケイの現在地
- 2024-09-3048兆円市場の各社のシェアがわかる!食品小売、市場規模&占有率2024!
- 2022-01-27大型センター建設でセンター出荷型ネットスーパーを強化するイトーヨーカドーの戦略とは
- 2020-01-17ダイエー、東京・板橋で移動販売、横浜市に次いで2ヵ所目
- 2020-04-20アマゾンの料理宅配サービス「デリバルー」の出資、英当局が暫定承認
- 2020-10-16出前館、22年中に加盟店を10万店舗に拡大、人口カバー率を50%以上に
- 2021-02-17混戦!フードデリバリー 「出前館」藤井英雄社長が語る次なる戦略 プロダクト強化と地方拡大とは?