冷凍ラーメンに冷凍刺身…ローソンが冷凍食品売上を5倍にするための戦略とは

取材・文:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
Pocket

新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大以降、利用が減少傾向にあるコンビニエンスストア(CVS)。そうしたなかローソン(東京都/竹増貞信社長)は、消費者の生活スタイルが大きく変わるなかで「日常的に利用される存在」になることをめざし、売場と商品の改革に着手。新しいモデル店への改装を一気に進めるとともに、需要が拡大する冷凍食品の売上を現在の5倍に伸ばすという野心的な目標を打ち出している。

コロナ禍の変化を好機に日常使いされる業態へ

ローソンの外観
ローソンは売場と商品の改革を急ピッチで進めている

 コロナ感染拡大下でCVSに逆風が吹いている。外出自粛生活やリモートワークの普及によって、とくに都市部やオフィス街に立地する店舗の利用が落ち込んだ。ローソンでは、感染拡大直後の2020年4月の既存店売上高伸長率は、対前年同期比で88.5%となり、21年2月期全体では同92.7%と減少した。22年2月期も3月~11月までの平均が同100.7%と前期の落ち込みをカバーするには至っていない。

ローソンの竹増貞信社長
ローソンの竹増貞信社長

 そうしたなかローソンは、この状況を好機へと転換したい考えだ。竹増社長は「コロナ禍で消費者の生活パターンが激変している。この間にいかに『日常使いされる業態』になれるかが重要だ。そうすれば人の動きやインバウンドが戻ってきたとき、それらの売上高がプラスとなり、コロナ以前よりも支持される存在となれるはずだ」と説明する。

 このような考えのもとローソンはコロナ禍で変革を実行してきた。21年2月期下期には、グループ横断組織「ローソングループ大変革実行委員会」を始動。竹増社長を委員長とし、新しいCVSモデルの実現に向けて計12のプロジェクトを実行してきた。

 なかでもスピーディな改革が目にとまるのが「店舗理想形追求プロジェクト」だ。ローソンでは、コロナ禍で伸長している商品カテゴリーに、冷凍食品や、店内調理品「まちかど厨房」、チルド総菜、スイーツ、常温和洋菓子などを挙げる。同プロジェクトでは、これらの商品群がより購入される売場へと、店舗を改装する実験を行っている。

「まちかど厨房」を8500店に広げ差別化

 代表的な改装ポイントをあげると、まず

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2 3

取材・文

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態