オークワ、SMと100円ショップの融合図り、得られた大きな「果実」とは

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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オークワ(和歌山県/大桑弘嗣社長)は、食品スーパー(SM)と100円ショップを組み合わせた店づくりを波及させている。利便性が高まるほか、集客力強化、収益性向上につながるとして、品揃えや売場づくりを工夫、成果を出している。

コロナ禍で需要が拡大

 オークワが、「ダイソー」のフランチャイジーとして100円ショップの展開をスタートしたのは、2000年6月にオープンした「オークワかつらぎ店」(和歌山県かつらぎ町)からである。

オークワかつらぎ店
店内にダイソーを導入したオークワかつらぎ店

 SMと同じ敷地内にある別棟に店舗を構えたところ、利用客からは「便利になった」「SMにはないリーズナブルな商品が、豊富に揃っていて楽しい」と好評を博した。これを受け、その後徐々に店数を増やしてきた。

 19年2月からは取り組みを一歩進める。店内の一角に100円ショップを配置していた貝塚三ツ松店(大阪府貝塚市)で、SMのレジを通じ、食品とダイソーの商品をまとめて支払えるようにしたのだ。従来は、SMと100円ショップはそれぞれ専用レジを配置、別個で精算する必要があった。

 お客にとっての使い勝手のよさを追求したわけだ。これによって同店の来店客数は、以前より5%伸長するなど、集客力向上の効果があった。

 店づくりにおいて、徐々にSMと100円ショップの融合を進めてきたオークワだが、コロナ禍ではさらに需要が高まりを見せる。コロナ禍以前は前年実績をクリアする程度で推移していたが、コロナ禍が始まった20年度、対前年度比で2ケタ増と大きく伸長した店も少なくなかった。

 ワンストップショッピングに対するニーズが拡大したほか、在宅時間が長くなるに伴って、子供向けのミニゲーム、また手づくりマスクセットなどそれまでとは異なる商品も動いた。

 オークワは現在、100円ショップの売場を200坪以上確保できることを基準に、導入を進めている。品揃え、売場づくりで競争力を発揮できる規模だという。そこでは、SMとの相乗効果を出すためさまざまな施策を行っている。

至近にセリアが開業

 100円ショップを活用したオークワの取り組みを確認するため、冒頭で紹介したかつらぎ店に

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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