利用実態調査発表から見る、「スキマバイト」市場の最新トレンドとは?

大正谷 成晴 (フリーライター)
取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

スキマバイトを活用した人材戦略

 スキマバイトを単発の労働機会として捉えるのではなく、その後の“関係構築”につなげようとする企業も増えている。たとえば、勤務後に店舗で買物をするといった付随する接点を通じて、利用者との継続的な関係性を育む動きだ。

人材研究所の曽和利光社長

 「即戦力としての“瞬発力”と、企業との接点を繰り返し持つ“持続力”の両立がスキマバイトを活用した人材戦略の成功のカギを握る」と語るのは、発表会に登壇した人材研究所の曽和利光社長だ。

 曽和氏は「未経験者でもすぐに仕事ができるよう、準備を整えることが重要だ。たとえば、某ファストフードチェーンでは、10分程度の動画を視聴すれば、すぐに現場で業務に就ける仕組みが整っている」と語る。

 こうした中、企業はスキマバイト経験者を「再稼働が見込める人材」として捉え、必要な時に再度働いてもらえる関係を築く取り組みを進めている。曽和氏は「企業が過去の退職者(アルムナイ)や社員紹介(リファラル)から人材を確保する動きが広がるなかで、スキマバイトを通じた“関係採用”も新たな手法として注目されている」と話す。

 たとえば、イオンファンタジー(千葉県)では、スキマバイトを通じて「まず試しに働いてみる」機会を提供し、何度か働くうちに長期雇用へとつながるケースが生まれている。こうした活用法は、スキマバイトを正社員採用のステップとして捉える企業の広がりにもつながっている。

 こうした取り組みを通じて、企業と求職者の双方にとって持続可能で柔軟な働き方の実現が進み、スキマバイトは単なる短期の労働手段から関係を築く雇用の入口へと進化しつつある。

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記事執筆者

大正谷 成晴 / フリーライター
資産形成・運用、税制、キャッシュレス・ポイント、医療・介護、ビジネス全般、まちづくり・地方創生などのジャンルで取材・執筆を行っている。著書『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)など

取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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