京都のお茶漬けの名店を探訪! 京都人の「ぶぶ漬けどうどす」は現在も生きているのか?

2023/10/27 05:59
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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女性店員に聞き、食べ方の方針を決める

 通されたのは、古い丸テーブルの周りに座布団が敷かれた席。店内は和風で、あちらこちらに民芸品と思われる置物や絵が飾られている。壁には掛け軸、落ち着いた雰囲気がよいな。

古い丸テーブルの周りに座布団が敷かれた席に通される

 周囲を見回すと、家族連れ、カップルと思われるお客も少なくないが、総じて女性の比率が高い。どのテーブルも、静かに会話しているのが印象的である。

 待つこと約15分。私の前に料理が置かれた。素材や料理の色に加えて食器にもこだわっているようで、華やかな感じがする。一気に食欲が増した。

私の前に置かれた料理

 運んできてくれた女性店員に食べ方を質問すると、「とくに決まりはありません」とのこと。いろいろと聞いた結果、最初はお茶をかけずに食べ進め、最後、お茶漬けで〆る方針で攻めることにした。

 おひつに入っているごはんを茶碗によそったら準備が完了。まずは「出し巻き」である。箸で大きめに切り分け、そのまま口へ。最高だ。風味がしっかりと感じられ、かなりのおいしさ。これだけで、ごはん一杯は軽くいけそうだ。

まずは「だし巻き」。風味がしっかりと感じられ、かなりのおいしさ

 はやる気持ちを抑えて次は「季節一品物」。揚げて甘辛く味付けした鱧(はも)のほか、おくら、にんじん、ミニトマトなどが、とろみのあるだしと和えてある。彩りは抜群、もちろんうまい。時々、赤だしで口を整え、もう一度、だし巻き。あれこれ食べている間にご飯が少なくなってきた。

次は「季節一品物」。揚げて甘辛く味付けした鱧もうまい!

 いよいよメインディッシュの時間だ。

 きゅうり、なす、ごぼうなどの漬物をご飯の上に丁寧に並べ、ゆっくりと急須でお茶を回しかける。そして、一気にさらさらと流し込む。漬物は、浅漬けであるのもうれしい。あぁ、幸せとはこういうことを言うのだろうな。

ご飯に漬物を乗せ、ゆっくりとお茶を回しかける

 そうそう、肝心の、京都人をお茶漬けに誘ったらどうなるかの話である。たぶん声をかけられた京都人は、思わぬ攻撃に一瞬ひるむだろう。しかし、あなたとの関係が基本的に良好であれば受け入れられ、さらに食事を共にすれば関係が深まるはずだ。

 ただし家に行った時、「ぶぶ漬けどうですか」と勧められた時に誘うと逆効果。相手は帰ってほしいと考えている時だからだ。そこは日をあらためる方がいいだろう。やはり何事もタイミングが重要だと思う。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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