キリン、コーヒーチェリー由来の発酵素材を開発 コーヒー農園の持続性向上と環境負荷軽減に寄与


コーヒーチェリー
(キリンホールディングス ニュースリリースより)

 キリンホールディングス(東京都)は10月29日、飲料未来研究所がコーヒーチェリー※1由来の発酵素材の開発に成功したと発表した。

 果肉や果皮部分が多く廃棄されるコーヒーチェリーを有効活用することで、コーヒー農園の持続性向上や環境負荷の軽減につなげる。

 コーヒー豆を取り出した後に残る果肉や果皮は、世界中で大量に発生し、その多くが廃棄されている。これらにはカフェインやポリフェノールなどの成分が多く含まれ、生態系や水質・土壌への影響が懸念されている。

 一部では堆肥化や食品原料化(例:カスカラ茶)などの活用が進むものの、技術的・経済的課題から廃棄が続く地域も多い。また、コーヒー価格の不安定さや農業インフラの未整備などによる農園収入の不安定化も課題となっており、特にコロンビアでは廃棄物に対して環境税が課されている。

 キリン飲料技術研究所(現・飲料未来研究所)は、こうした背景を踏まえ、2018年からコーヒーチェリーの有効活用に関する研究を進めてきた。

 今回開発された発酵素材は、キリン独自のワイン香気増強技術を応用。コーヒーチェリーを搾汁・濃縮したエキスを乳酸菌と酵母で発酵させたもので、酒類や清涼飲料の温感・発酵感・果実感・コクなどを高める効果が確認された。

 RTD※2商品を使った嗜好調査※3では、「満足感」「上質感」などの嗜好度が向上したことから、RTD商品の「麒麟特製」ブランドへの採用を開始。2025年5月発売の「麒麟特製 メロンソーダサワー(期間限定)」と、11月25日発売予定の「麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)」に使用されている。

 また、この素材を添加したノンアルコール飲料の嗜好調査※4でも、「飲みごたえ強化」「香味向上」が確認され、低アルコール・ノンアルコール飲料の飲用満足度を高められる可能性が示唆された。

 キリンでは今後、廃棄されるコーヒーチェリーの活用を拡大し、農園収入の向上や環境負荷の低減に寄与するとともに、同素材をノンアルコールや低アルコール飲料に採用することで、アルコール関連の社会課題解決に向けた取り組みを進めていく方針だ。

※1: コーヒーノキに実る赤い実で、種子がコーヒー豆の原料となる部分。
※2: Ready to Drinkの略。開栓してすぐに飲めるアルコール飲料。
※3:キリン調べ(2023年5月実施、30~59歳の男女51人を対象)
※4:キリン調べ(2023年5月実施、ノンアルコール飲料で本格的な味を楽しみたい30~59歳の男女51人を対象)

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