食品値上げラッシュ到来=小売り大手、低価格品拡充も
10月は飲料や食用油など生活に身近な食品が一斉に値上げされ、家計には大きな負担がのしかかる。帝国データバンクの調査では、単月の値上げ品目数は2911品目と今年最多になった。物価高が続く中、小売り大手は低価格品の品ぞろえを増やすなど、節約志向を強める消費者を取り込もうと必死だ。
総務省によると、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は8月まで36カ月連続で前年同月比プラス。一方、7月の家計調査では1世帯(2人以上)当たりの実質消費支出が0.1%増と3カ月ぶりにプラスに転じたが、わずかな伸びにとどまった。長引く物価高で「買い控えが消費行動として定着している」(帝国データ)ようだ。
消費者の財布のひもが固くなれば、メーカーだけでなくスーパーなどの小売店も苦しい。商品が値上がりしているので売上高は増加基調だが、日本チェーンストア協会の牧野剛専務理事は「買い上げ点数は伸びていない」と表情を曇らせる。
手頃な商品を渇望する消費者に応え、イオンは9月に食品などのプライベートブランド(PB)商品の一部を最大2割値下げした。セブン―イレブン・ジャパンは、おにぎりや弁当など低価格帯の商品を拡充。青山誠一常務は「価格重視の顧客が増えている。経済性重視の傾向は今後ますます高まっていく」として対応を急ぐ構えだ。