【ワシントン時事】米労働省が5日発表した3月の雇用統計(季節調整済み)で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比30万3000人増だった。伸びは2月の27万人増から拡大、市場予想(20万人増)も大きく上回った。雇用情勢の強さが鮮明になった。
失業率は3.8%と、前月から0.1ポイント改善。インフレに影響する平均時給は前年同月比4.1%上昇と、伸びは前月(4.3%)から減速した。賃金を押し上げ、物価上昇圧力をもたらす人手不足は、移民増加などを背景に幾分和らいでいる。
業種別の就業者数は、医療関連が引き続き堅調で、前月比7万2000人増。建設業も3万9000人増となった。
米国のインフレ率は2022年半ばのピークから大きく低下。ただ、今年2月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.5%上昇と、5カ月ぶりに伸びが拡大し、インフレ圧力の根強さが示された。
インフレの鈍化基調を踏まえ、米連邦準備制度理事会(FRB)は3月会合で、0.25%幅で年内3回の利下げ想定を提示した。しかし、最近のインフレ鈍化ペースは停滞気味。雇用も堅調さを保っており、FRB内では「利下げ開始は今年末」(高官)など、拙速な利下げを避け、経済動向の見極めに時間をかける必要があるとの声も上がっている。
◇米雇用統計
概要 2月 3月
失業率 3.9% 3.8%
非農業部門就業者数 27.0万人 30.3万人
民間部門 20.7万人 23.2万人
物品生産部門 1.7万人 4.2万人
サービス部門 19.0万人 19.0万人
政府部門 6.3万人 7.1万人
労働時間(週平均) 34.3時間 34.4時間
平均時給 34.57ドル 34.69ドル
平均時給伸び 4.3% 4.1%
労働参加率 62.5% 62.7%
U6失業率 7.3% 7.3%
長期失業者(半年以上) 120.3万人 124.6万人
経済的理由でのパート勤務 437.6万人 430.8万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。 〔写真説明〕米労働省=ワシントン(AFP時事)