【ワシントン時事】米労働省が5日発表した2023年12月の雇用統計(季節調整済み)で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比21万6000人増だった。伸びは11月の17万3000人増(改定値)から拡大し、市場予想(17万人増)も上回った。米雇用の堅調ぶりが改めて示された。
失業率は3.7%と、前月から横ばい。インフレに影響する平均時給は前年同月比4.1%上昇。伸びは前月から小幅に加速し、高水準を維持した。
業種別の就業者数は、レジャー・接客業が前月比4万人増。前月、労組ストの終結で大幅増となった自動車・部品は2100人減となった。
米国のインフレ率は低下傾向をたどっており、昨年11月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.6%上昇と連邦準備制度理事会(FRB)が物価安定の目標とする2%に近づいた。労働市場は堅調さを保っているものの、一時期の著しい人手不足は幾分和らいだ。
FRBは昨年12月の会合で、政策金利を3会合連続で据え置くことを決めた。同時に24年内に0.25%の幅で3回利下げする想定を示した。インフレ鈍化の兆しが見られる中、市場ではFRBが今春にも利下げに踏み切るとの観測が浮上している。
◇米雇用統計概要
11月 12月
失業率 3.7% 3.7%
非農業部門就業者数 17.3万人 21.6万人
民間部門 13.6万人 16.4万人
物品生産部門 3.0万人 2.2万人
サービス部門 10.6万人 14.2万人
政府部門 3.7万人 5.2万人
労働時間(週平均) 34.4時間 34.3時間
平均時給 34.12ドル 34.27ドル
平均時給伸び 4.0% 4.1%
労働参加率 62.8% 62.5%
U6失業率 7.0% 7.1%
長期失業者(半年以上) 122.0万人 124.5万人
経済的理由でのパート勤務 399.4万人 421.1万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。