忘年会復活、居酒屋に活況=「5類」移行、予約3倍増も
新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行してから初の忘年会シーズンを迎え、居酒屋などににぎわいが戻っている。予約が前年の3倍に上るケースもあり、企業などによる大人数の宴会も復活。4年ぶりとなる書き入れ時の活況に、うれしい悲鳴を上げている。
サラリーマンの聖地と呼ばれる東京・新橋。週末の15日金曜の夜、立ち並ぶ飲み屋は多くの客で埋まり、寒空の下、店外に設置されたテーブル席で酒宴を楽しむ会社員らの姿も目立った。
「三代目鳥メロ」などを運営する居酒屋大手ワタミによると、12月の予約件数(既存店ベース)は、11月末時点で前年同月比約3倍、コロナ禍前の2019年比でも3割増。「客単価や一組当たりの予約人数も増えている」(広報)という。
二次会など遅い時間の需要も、「都心の繁華街などでは戻ってきている」(別の居酒屋大手)。これを受け、キリンビールは12月のビール類生産を前年より1割増やしている。
背景には、5類移行後の人流の回復に加え、コロナ禍で自粛されてきた職場の忘年会の復活がある。パーソルグループの調査機関Job総研が社会人男女約1000人を対象にした11月の調査によると、職場で忘年会を開催すると答えた割合は52.3%と、4年ぶりに過半数となった。
ある大手食品メーカーは今月15日、グループの広報担当者が一堂に集まる忘年会を開いた。参加した社員は「コロナ禍では懇親会ができず、皆で集まることができて良かった」と話した。
ただ、Job総研調査では、職場での忘年会について約半数が「必要ない」とも回答。東京商工リサーチの調査によると、今シーズンに忘年会や新年会を実施すると回答した企業は55.9%に上ったが、「コロナ禍を契機に変化した環境は来年以降も継続する可能性がある。企業の宴会や二次会需要に支えられてきた飲食店は戦略再考が避けられない」と分析している。