冬物家電の商戦が本格化してきた。季節外れの暑さから一転、冷え込みがこのところ一気に進んだことが影響している。ただ、物価高による実質賃金の低迷もあり、消費者の節約志向は強い。省エネへの意識が高まる中、小型の暖房器具が特に好調に推移しているという。
店頭で冬物家電に動きが出始めたのは、寒さが増した11月第2週からだ。家電量販大手ケーズホールディングスの広報担当者は「(消費者が)気温に反応し、一気に売れだした。(この時期にしては)夏日もあったため、より寒く感じるのだろう」と指摘。ノジマの広報は「第1週の売り上げは平年並みだったが、第2週の週末から爆発的に売れている」と分析する。
ビックカメラは、売り上げが前年の同じ週と比べ2倍に急増した。室内全体を暖めるエアコンよりも電気毛布やパネルヒーターなど「その日の寒さを乗り切る小型暖房が人気」(広報)という。
売れ筋は省エネ性が高く「速暖性」に優れた商品で、「来店客は電気代が第1で、すぐ暖かくなるかを2番目に気にする」(ビックカメラ新宿東口店)傾向があるという。周囲に人がいなくなると自動で消えたり、電源を付けると1秒で暖かくできたりする機能がある暖房が人気で、着る電気毛布や足を暖める小さな電気じゅうたんの売れ行きも良い。
ヨドバシカメラは「売り場を拡大したほか、自社の電子商取引(EC)サイトで暖房の特集を組んでいる」(広報)といい、今後の販売拡大に期待を寄せる。