家電量販決算2025 さらに加速する“脱家電”の動きで新たな成長段階に

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア)
Pocket

2024年度の家電量販市場は、コロナ禍の巣ごもり需要からの反動減を経て再び活気を取り戻した。時短・省エネ志向の家電や猛暑による季節商品の需要が下支えとなり、主要各社の業績は回復基調となった。

さらに、住関連サービスやM&A(合併・買収)による事業領域の拡大など、“脱家電”の流れにも成果が出始めており、各社は次なる成長を見据えた動きを本格化させている。

 経済産業省の商業動態統計調査によると、24年度(24年4月~25年3月)の家電大型専門店の総売上高は対前年度比3.5%増の4兆7917億円だった。同年度の上場家電量販店の決算では、9社中8社が増収増益となった。

 23年度はコロナ禍での需要の反動で、とくに耐久消費財の販売が振るわずに営業減益となった企業が多かったが、24年度は回復に転じた。

2024年度の家電量販市場は、コロナ禍の巣ごもり需要からの反動減を経て再び活気を取り戻した

 これを後押ししたのが、生活スタイルの変化である。「タイパ」志向の高まりや夏の記録的猛暑といった要素が市場を活性化させた。品目別に見ると、ロボット掃除機や自動調理器、食洗機など、時短や利便性を追求した商品が好調に売上を伸ばし、各社の業績に寄与した。エアコンや冷蔵庫では、節電意識の高まりによって省エネ性能の高い商品の販売が伸びたほか、熱中症対策による需要の拡大により季節家電も堅調に推移した。

 さらに、外出機会の増加を受けて理美容家電の需要も拡大した。こうした複合的な要因から、耐久消費財市場は持ち直しの兆しを見せている。

CE営業収益/経常利益増減率の企業分布(連結ベース)

 業界最大手のヤマダホールディングス(群馬県)の25年3月期連結業績は、営業収益が1兆6290億円(対前期比2.3%増)、営業利益が428億円(同3.2%増)と増収・営業増益だった。好業績の要因は、住建・金融セグメントの好調だ。このうち住建セグメントは、規格住宅や分譲住宅の受注数が増えたことで、売上高が同6.3%増、営業利益が同66.5%増となった。金融セグメントも、住宅やリフォーム事業と連携したローンの取り扱いが拡大し、売上高が同4.5%増、営業利益が同35.0%増と増収・営業増益となっている。

CE 9社経営指標ランキング① CE 9社経営指標ランキング①つづき① CE 9社経営指標ランキング①つづき② CE 9社経営指標ランキング①つづき③

 その一方、主力のデンキセグメントは、

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

ダイヤモンド・チェーンストア編集部紹介サイトへ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態