【ワシントン時事】米労働省が7日発表した6月の雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月から20万9000人増加した。伸びは前月の30万6000人(改定)から鈍化し、市場予想(22万5000人)も下回ったが、堅調な雇用情勢を示す内容となった。失業率は3.6%と、0.1ポイント改善した。
インフレに大きく影響する平均時給は前年同月比4.4%増。伸びは前月から変わらず、賃金の高止まりが示された。連邦準備制度理事会(FRB)は、過熱気味の労働市場を冷ましてインフレを抑えるため、今月25、26日の金融政策会合で追加利上げを決めるとの観測が強まっている。
業種別の就業者数は、コロナ禍からの持ち直しが続く娯楽・接客が前月比2万1000人増。一方、小売りは1万1200人減だった。
米国のインフレ率は昨年半ばをピークに低下をたどっている。しかし、人手不足による賃金上昇が続き、サービス分野の価格を押し上げている。
FRBは6月の会合で、これまで進めた急激な利上げが経済に及ぼす影響を見極めるため、11会合ぶりに政策金利の据え置きを決定した。ただ、パウエル議長は「インフレ圧力は引き続き強い」と述べ、追加引き締めの必要性を示唆している。
◇米雇用統計概要
5月 6月
失業率 3.7% 3.6%
非農業部門就業者数 30.6万人 20.9万人
民間部門 25.9万人 14.9万人
物品生産部門 2.3万人 2.9万人
サービス部門 23.6万人 12.0万人
政府部門 4.7万人 6.0万人
労働時間(週平均) 34.3時間 34.4時間
平均時給 33.46ドル 33.58ドル
平均時給伸び 4.4% 4.4%
労働参加率 62.6% 62.6%
U6失業率 6.7% 6.9%
長期失業者(半年以上) 118.8万人 110.5万人
経済的理由でのパート勤務 373.9万人 419.1万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。