供給制約和らぐ=日銀短観
日銀が3日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断が7四半期ぶりに改善した。半導体不足など供給制約が和らぎ、関連業種が多い自動車の持ち直しが寄与した。大企業では原材料高を受けた価格転嫁の動きも広がり、悪化が続いていた企業心理がようやく底打ちした格好だ。
大企業非製造業もコロナ禍からの経済活動の再開を背景に、宿泊・飲食サービスなど対面型サービス業を中心に景況感が改善した。訪日外国人旅行客の回復も追い風となった。
ただ、先行きは楽観できない。インフレ圧力の根強い欧米ではこれまでの積極利上げを受け、景気の減速が懸念されている。また、国内では企業の人手不足感が強まっており、賃上げによる人件費増加も予想される。コスト増加分を価格転嫁できなければ企業収益の圧迫要因となる。日銀が目指す物価と賃金がともに上昇する好循環を作り出せるのかは、依然不透明な状況だ。