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免税売上高、20倍も=高額品求め、外国客急増―水際緩和・円安が後押し―百貨店

松屋銀座の免税カウンターで手続きを取る訪日外国人旅行客ら
〔写真説明〕松屋銀座の免税カウンターで手続きを取る訪日外国人旅行客ら=18日午後、東京都中央区(時事通信社)

 今月11日からの新型コロナウイルス水際規制の大幅緩和を受け、インバウンド(訪日客)消費の復活の兆しが見えてきた。円安効果も重なり、百貨店では時計や高級ブランドなどの高額品を買い求める外国人客が急増。免税売上高が日によっては前年の約20倍に跳ね上がった店もあり、小売業界では需要の取り込みに向けた商戦が本格化しそうだ。

 松屋銀座3階の免税カウンターには18日午後、外国人客が次々と手続きに訪れた。香港から来日した女性(30)は、「円安効果で安くなってうれしい」と満足げ。バッグやスカーフなどに100万円以上を使ったという。同店では平日の免税売上高が約10倍、日曜日の16日は約20倍に急増。担当者は「想定よりも戻りが早かった」と話す。

 三越銀座店では、16日までの1週間の免税売上高が約10倍の伸びで、時計や宝飾品の売れ行きが好調。担当者は「円安が大きく後押ししている。今後も入国者数は増えるので追い風だ」と話す。そごう・西武は11日から17日にかけて、国内10店舗の外国人客数が前年同時期の5倍に増えた。

 訪日客需要を取りこぼさないため、松屋銀座は従業員への自動翻訳機配備を手厚くした。伊勢丹新宿店は11月下旬に免税カウンターを拡張するほか、割引クーポンの導入も検討する。

 ただ、買い物客は香港や台湾、韓国からの訪日客が中心で、かつて「爆買い」で消費をけん引した中国本土からの訪日客はまばら。そのため免税売上高の額はコロナ禍前の水準にはまだ遠く及ばない。家電量販店も「中国人客が戻らないと効果は限定的」(ビックカメラ)と、中国の出国規制緩和を心待ちにしている。