【ワシントン時事】米労働省が3日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は39万人増だった。失業率は3.6%と横ばいだったが、新型コロナウイルス危機前の低水準に迫っており、労働市場の堅調さが示された。
就業者数の伸びは4月(43万6000人増、改定)から鈍化したものの、市場予想(32万5000人増)を上回った。失業率はコロナ危機を受けて20年4月に戦後最悪となる14.7%に達したが、政府の景気対策などにより低下基調が続いている。
業種別の就業者数は、コロナ流行の打撃が大きかった娯楽・接客業が前月比8万4000人増。一方、半導体不足で減産を強いられている自動車・部品はマイナスに転じた。
米景気はコロナ危機から急速に持ち直したものの、旺盛な需要に供給が追い付かず、物価が高騰。人手不足が深刻化し、失業者1人に対し求人が2件ある「売り手市場」となっている。賃上げが広がれば一段の物価高につながりかねない。ただ、5月の平均時給は前年同月比5.2%上昇と、前月から伸びが鈍化した。
中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ圧力の緩和を図るため、過剰な需要の抑制を目指し、積極的な利上げを継続する構えだ。
◇米雇用統計概要
4月 5月
失業率 3.6% 3.6%
非農業部門就業者数 43.6万人 39.0万人
民間部門 40.5万人 33.3万人
物品生産部門 6.9万人 5.9万人
サービス部門 33.6万人 27.4万人
政府部門 3.1万人 5.7万人
労働時間(週平均) 34.6時間 34.6時間
平均時給 31.85ドル 31.95ドル
平均時給伸び 5.5% 5.2%
労働参加率 62.2% 62.3%
U6失業率 7.0% 7.1%
長期失業者(半年以上) 148.3万人 135.6万人
経済的理由でのパート勤務 403.3万人 432.8万人
【注】「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。