アマゾンが直営SMの新規出店再開 ”緊縮”から投資拡大フェーズへ
事業成長にはリアル店舗の存在も不可欠?
アマゾンは24年4月、店舗戦略の一環として「ジャスト・ウォーク・アウト(Just Walk Out)」と呼ぶレジレス精算システムをアマゾン・フレッシュなどの大型店で廃止すると明らかにした。それに代えてセルフレジ機能付きのショッピングカート「ダッシュカート(Dash Cart)」の導入を拡大。買い物途中で合計金額を逐次表示する大型店向け機能を提供し、利便性を高めている。
ジャシーCEOと幹部らは、食品事業をさらに成長させるためには、リアル店舗の数を増やす必要があると考えている。米証券大手ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのデータによると、1兆6000億ドル(約244兆円)規模の米国食料品市場における、EC販売の売上高はわずか11%にとどまる。これは、EC販売が41%を占める家電などの他のカテゴリーと比べて低い水準である。アナリストらも「食料品業界で大きく成長するためには、リアル店舗を持つ必要がある」と指摘する。
アマゾンの2023年通期におけるリアル店舗事業の売上高は前年比5.6%増の200億3000万ドルだった。同社年間売上高である5747億8500万ドルに占める比率はわずか、3.5%である。
この比率はクラウド事業のAmazon Web Services(AWS)で16%、ネット広告事業で8.2%になる。すなわち、アマゾンのリアル店舗事業はいまだ規模が小さい。だからこそ、その伸び代は一層大きいと言えるのかもしれない。