中国アリババ、年間増収率が上場後最低に 株価10%超下落
[19日 ロイター] – 中国の電子商取引大手アリババ・グループは18日、2022会計年度の売上高が前年度比20―23%増となり、年間の増収率として2014年の上場後で最低になるとの見通しを発表した。消費の減速や競争の激化、規制強化により、同時発表された7―9月期決算は予想を下回った。
これを受け、アリババ株は19日の香港市場で11%急落した。
先週実施された、毎年恒例となっている世界最大のオンライン通販祭典「独身の日」での売り上げの伸びは、開始後で最低だった。
アリババや配車サービス大手、滴滴出行(ディディ)といった中国の大手ハイテク企業は、規制当局が独占禁止や安全を理由にして取り締まりを強化したことによる圧力を受けている。
中国のインターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)も規制強化の影響を受け、四半期の増収率が04年の上場後で最低だった。
アリババの創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は、中国の規制制度を昨年批判して以来、公の場にほとんど姿を見せていない。
中国の規制当局は、アリババ傘下のフィンテック関連企業、アント・グループが昨年11月に予定していた370億ドル規模の新規株式公開を取りやめさせ、今年4月にはアリババに対して反競争的ビジネス慣行を理由に過去最高となる28億ドルの罰金を科した。
アリババは罰金を課された四半期に上場後で初めての営業赤字を計上し、今年に入ってから時価総額が約3分の1減った。
7―9月期決算の売上高は前年同期比29%増の2006億9000元(314億4000万ドル)となり、過去6四半期で最も低い成長率となった。リフィニティブのアナリストの平均予想は2049億3000万元だった。調整後の純利益は285億2000万元となり、前年同期から39%減った。
調整後の1株当たり利益は11.20元。予想の12.36元を下回った。
アント・グループの4―6月期利益は約197億元だった。アリババは、アントからの利益を1四半期遅れで計上している。
競争激化
中国の消費者は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、支出により慎重になっている。これが供給の混乱と重なり、中国経済の成長鈍化の要因となった。
アリババ・グループの張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は決算説明で、「こうした経済的な逆風と市場競争の激化は、当社の中国における中核的なコマース事業にも影響を与えてた」とし、特に衣料品と一般財の需要が影響を受けていると明かした。
一方、アナリストらは、アリババでは衣料品や宝飾品の需要が鈍化したものの、競合企業では衣料品販売がはるかに好調だったと指摘する。
また、中国では動画アプリの快手科技や抖音(ドウイン)などが電子商取引に進出しており、大手企業は対応を迫られている。
大和キャピタル・マーケッツのアナリストは、「競争激化はアリババの市場シェアをさらに奪い、売上高の伸びでアリババと他社との差が拡大するだろう」と顧客ノートで指摘した。