シリアル、健康価値や保存性の高さが再評価され需要が拡大基調に
健康感や簡便性、常温保存などのシリアル本来の価値が再評価され、コロナ禍においてシリアル市場は好調に推移している。また朝食だけでなく、おやつとしての需要も高まっており、さらなる拡大が期待されている。
“おうち時間”の増加で3月以降は大きく伸長
KSP-POSデータのシリアルの期間通算(2019年9月~20年8月)の金額PIは、2768円で対前年同期比18.2%増。11月までは前年割れの月が目立つが、12月以降はプラスに転じている。これは19年12月に放送されたM-1グランプリで、漫才コンビの「ミルクボーイ」がコーンフレークのネタを行ったことで話題となり、トライアルが促進されたことが予想される。また、3月は同32.4%増、4月は同44.6%増、5月は同41.7%増と大きく伸長。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、家庭で過ごすことが増え、栄養バランスに優れ、簡便性、常温で長期保存ができるシリアルが再評価されたことが好調の要因だ。また、コロナ禍においては、朝食だけでなく、おやつとしての需要も高まっている。
![シリアル イメージ](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2020/10/iStock-1194739843.jpg)
グラノーラを含む大人向けシリアルの金額PIは2156円で同12.9%増。大人向けシリアルも11月までは前年割れが続いているが、12月以降は前年を上回っており、3月は同25.8%増、4月は同37%増、5月は同34.5%増と大きく伸長した。“第二次ブーム”の兆しが見えはじめているグラノーラは、食シーンが変化。これまでは単一フレーバーを家族みんなで食べる、というものだったが、最近の傾向は、複数のフレーバーを買い置きして、家族がそれぞれ好みのフレーバーを好きな時間に食べる、というスタイルに変化している。そのため、大容量から中容量にシフトしている。
一方、子供向けシリアルも12月から伸長が続いており、休校になった3月は同53.7%増、4月は同63.6%増、5月は同51.9%増となった。
チョコレートやいちごなどフレーバーが広がる
シリアルはバリエーション化が加速している。そのなかで好調なのが、チョコレートフレーバー。シリアルの健康感にチョコレートのおいしさが加わり、朝食だけでなくおやつとしても食べられている。また、抹茶やきなこなどの和フレーバー、ナッツやいちごなども人気だ。日本ケロッグでは、グラノラベースに、チョコレートバーのフレークと、大きくスライスされたいちごを合わせた「チョコレートのグラノラ朝摘みいちご」を9月下旬から発売した。
また、カルビーでは、「フルグラ®」ブランドのなかでいちごを過去最大量使用し、いちごの味わいがしっかり楽しめる「フルグラ®いちごリッチ」を発売した。
一方、日清シスコでは、コーン以外の素材でつくった商品開発に取り組んでおり、今年2月にココナッツを使った「素材のごほうび ココナッツフレーク」を発売。この秋には、美容・健康素材として人気の高い大豆を使用した「同 大豆フレーク」を発売した。大豆のおいしさに加え、栄養素もしっかり入ったシリアルとなっている。
また糖質オフタイプや特定の機能に特徴を持たせた機能系シリアルなども好調。今後も多様化するニーズに対応した商品が求められているといえそうだ。
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