生協の最新物流センターがすごかった! テスコ同様のシステム導入で高い生産性を実現
大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
首都圏で生鮮宅配を展開するパルシステム生活協同組合連合会(東京都/大信政一理事長:以下、パルシステム連合会)の新たな物流センター「熊谷センター」(埼玉県熊谷市)が竣工した。敷地面積は約3万3000㎡、投資額は約100億円といずれも同連合会にとって過去最大だ。
2月6日に開催された内覧会ではその内部を公開。訪れてみると、世界の先進的な生鮮宅配サービス同様のシステムや設計を導入した、最新鋭のセンターの姿があった。
ねらいは需要が伸びる
チルド商品の売上拡大
パルシステム連合会は、生鮮宅配の競争がとりわけ激しい首都圏を含む、関東の1都11県で宅配事業を展開している。18年度の供業高(小売業の商品売上高に相当)は約1568億円で、毎週、約80万世帯に商品を配達している。
今回の新物流センターの背景にあるのは、ミールキットの「お料理セット」といったチルド商品の需要伸長だ。
パルシステム連合会はチルド商品のさらなる売上拡大を図るべく、2016年からチルド物流の再編を進めており、熊谷センターはその中心的役割を担う。チルド専用のセンターとして、1日34万点、同連合会全体のチルド商品の7割以上の仕分けを引き受けることとなる。
まさに今後の成長の土台とも言える熊谷センターにおいて、パルシステム連合会は最新のシステム導入により、省人化と省力化、そして高い生産性の実現をめざした。同社の従来型の物流センターでは、人員を177人配置して1人510件だったが、熊谷センターでは、86人配置して1人930件(ともに1時間当たりの処理件数)をこなせるようになるという。
記事執筆者
大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長
1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。
最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士