製・配・販 チャネル効率の 5つの真実

青木 英彦 (東京理科大学大学院教授)
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小売業の行動がチャネル全体の効率を決める

 連載第2回では、チャネル世代間の格差を実際の売上高で検証するとともに、日本の第一世代チャネルには、小売業への悪しきインセンティブが内在されていることを見た。連載第3回では、この悪しきインセンティブによるチャネル全体への悪影響と、取引ルールのあるべき姿について議論する。

配送トラックのイメージ
現在の取引ルールは製・配・販すべての企業価値に悪影響を及ぼしている(写真はイメージ、andresr/istock)

 まず指摘しておきたい重要な点は、小売業の行動によって、チャネル効率の大半が決まってしまうという事実である。たとえば、小売段階での需要の波動は、卸、メーカー、そして原材料供給先へとさかのぼるにつれ増幅されるという現象がある(ブルウィップ効果、図表❶参照)。小売業が、頻繁に価格を上下させ需要の波動を作り出すと、その波動が

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記事執筆者

青木 英彦 / 東京理科大学大学院 教授

東京理科大学大学院 経営学研究科 技術経営専攻(MOT)教授。

1989年神戸大学経営学部を卒業し、野村総合研究所に勤務。野村證券インターナショナル(米国ニューヨーク市)、ゴールドマン・サックス証券、メリルリンチ日本証券、野村證券にて小売・EC担当証券アナリスト業務に従事。2020年9月より現職。1994年米国Duke大学Fuqua School of BusinessにてMBA取得。2018年神戸大学大学院経営学研究科後期課程修了、博士(経営学)。日本証券アナリスト協会検定会員、CFA協会認定証券アナリスト、日本小売業協会CIO研究会ステアリングコミッティ委員。同流通サプライチェーン政策研究会メンバー。21年12月より加藤産業株式会社社外取締役、23年6月より株式会社ワールド社外取締役

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