中国、若者雇用がさらに悪化=景気回復の足かせに
【北京時事】中国の2023年4~6月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.3%増にとどまった。前年に上海市がロックダウン(都市封鎖)された反動増が出たため、1~3月期(4.5%増)から加速した。しかし、若年層の雇用状況は一段と悪化し、消費も低迷。景気回復の足かせとなっている。
「30社ほど履歴書を送ったが1社も面接に進めなかった」。北京の外国語系大学を6月に卒業した女性はこう打ち明けた。北京を離れ、今は実家の山東省で大学院の合格を目指し勉強している。
中国では今年の大学卒業者数が過去最多の1158万人に上る見通しだ。しかし、6月の16~24歳の失業率は21.3%と、過去最高だった前月からさらに0.5ポイント上昇。中国政府は公務員の採用を拡大するなど対策を強化しているものの、先の女性は「周囲の多くが仕事を見つけられていない」と話した。
雇用の悪化は消費の冷え込みにもつながっている。6月の小売売上高は前年同月比3.1%増に急減速。自動車や日用品は前年実績を下回った。 さらに、1~6月の住宅販売額が前年同期比3.7%増にとどまるなど不動産市場の低迷も長期化。市場では景気のてこ入れに向け、近く中国政府が財政支出の拡大やさらなる金融緩和に乗り出すとの見方が広がっている。