フードデリバリーが動画配信サービスと連携を深める理由

文:牧野 武文(ライター)
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2022年8月、ショートムービープラットフォーム「抖音(ドウイン:中国版『TikTok』)」と、フードデリバリー大手の「ウーラマ」が提携し、ショートムービーから飲料・食品のデリバリー注文ができるようになった。動画内に表示される商品タグをタップすると、ポップアップ画面で注文ができ、約30分で自宅に配達されるというものだ。

 抖音では、ショートムービーで紹介した商品をワンタップで購入できるECサービス「TikTokショッピング」も開始。22年の流通総額は1兆4100億元(約27兆8000億円)という驚異的な規模で、中国の3大EC「淘宝網(タオバオ)」「京東(JD.com)」「拼多多(ピンドードー)」を脅かし始めている。

ネット販売の新モデル「興趣EC」とは

 抖音を運営するバイトダンス(ByteDance)では、このような新しいスタイルのECを「興趣EC」と呼んでいる。興趣とは中国語で「趣きを興す」という動詞構造を含んだ言葉で、ショートムービーをトリガーにして需要を喚起し、購入につなげるというビジネスモデルを指す。

 興趣ECは、旅行商品、女性向け衣類、男性向けスニーカー、アイデア商品、趣味のグッズなどで販売効果が高いとされるが、とくに親和性があるのが食品だ。テレビでグルメ番組を見ているとお腹が空いてくる、飲食店で隣のテーブルに運ばれた料理を自分も食べたくなるといった経験は誰もが持つものだろう。興趣ECはそうした心理を利用しているのだ。たとえば、

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